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【重要】Scope1・2とは?基礎知識から算定までを解説

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「主要な取引先からCO2排出量のデータ提出を求められた」「脱炭素経営を始めたいが、何から手をつければいいかわからない」と悩まれている企業の担当者様も多いのではないでしょうか。

企業の温室効果ガス(GHG)排出量を算定・報告するうえで、すべての土台となる最重要の指標が「Scope1・2(スコープ1・2)」です。

本記事では、Scope1・2の基礎知識やScope3との違いをはじめ、算定が必要となる4つの具体的な場面、中小企業が取得しやすい「SBT認定」との関わり、そして実際の算定手順(5ステップ)までをわかりやすく解説します。

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記事の要点
  • Scope1・2とは自社の事業活動によって直接的・間接的に排出されるGHGのこと。
  • 大企業の要請に伴い、サプライチェーンに属する中小企業もScope1・2排出量の算定が必要。
  • Scope1・2排出量の算定によって、自社の現在の排出量が分かり、ホットスポットの特定もできる。
目次

「Scope1・2」とは?

Scope(スコープ)は直訳で「範囲」を意味する言葉です。温室効果ガスGHG)排出量の算定・報告に関する国際的基準である「GHGプロトコル」では、企業活動によって生じるGHG排出量を、発生元に応じて大きく3つの範囲(Scope1・2・3)に分類しています。

サプライチェーン排出量

サプライチェーン排出量のうち、「Scope1」「Scope2」の2つは、自社の事業活動によって直接的・間接的に排出されるGHGのことです。GHGプロトコルにおいても自社の排出量はScope1・2として定義されています。

Scope1・2排出量は、自社の事業活動に直結するものであり、企業が脱炭素経営を進めるうえで基準となる最重要な指標です。まずはこの範囲の算定と報告、そして削減に取り組む必要があります。

具体的にどんな事業活動がScope1・2に該当するかを確認してみましょう。

Scope1(直接排出)

Scope1は、事業者が自ら直接大気中に放出しているGHGを指します。

Scope1の具体例

ガソリンや灯油などの燃料の燃焼だけでなく、工業プロセスでの化学反応による排出や、オフィスのエアコンなどから漏れ出るフロンガスもScope1に含まれます。

Scope2(エネルギー起源の間接排出)

Scope2は、他社から供給された電気、熱、蒸気を使用することに伴う間接的なGHGを指します。

例として、電気を見てみましょう。自社で化石燃料を燃やしているわけではありませんが、電力会社が発電所で電気を作る際にCO2(二酸化炭素)を排出しているため、その電気を使用した自社にも排出責任があるという考え方です。オフィスの照明やパソコン、工場の生産ラインの稼働などで消費する電力が代表的な例です。

また、Scope2の排出量はロケーション基準」と「マーケット基準という2つの報告方法があります。例えば、再生可能エネルギー100%の電力メニューに切り替えた場合、マーケット基準での報告方法では排出量をゼロとして報告できるようになります。そのため、排出量削減の取り組み成果を排出量に反映させることができます。

【補足】Scope3(自社事業の活動に関連する他社の排出)

Scope3は、Scope1・2以外の、自社のサプライチェーンで発生する間接的なGHGを指します。

原材料の調達、製品の輸送、従業員の通勤や出張、さらには販売した製品が顧客に使用・廃棄される際の排出量までが含まれます。また、GHGプロトコルのScope3基準では、Scope3を活動の性質に応じて15のカテゴリに細分化しています。

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なぜ「Scope1・2」の把握が重要なのか

脱炭素経営は、まず自社のGHG排出量、すなわちScope1・2排出量が現在どれくらいあるのかを正確に知ることから始まります。

ダイエットに例えるとわかりやすいかもしれません。目標体重を設定し、減量計画を立てるためには、まず現在の自分の体重(現状の数値)を体重計に乗って正確に把握する必要があります。現在の体重を知らずに「5キロ痩せる」という計画は立てられません。企業の排出削減も全く同じで、「現在(基準年)の排出量(現状の数値)」がわからなければ、いつまでに何%削減するという目標が立てられず、後から実績を証明することもできません。

さらに、算定によって事業活動における「ホットスポット(排出量が特に多い箇所)」を特定できれば、環境対策の方向性が明確になります。どこを集中的に削減すべきかがわかるため、無駄がなく効率的な削減活動を推進できるのです。

すべての脱炭素施策のスタートラインとして、まずはScope1・2の正確な算定から始めましょう。

Scope1・2が必要となる4つの場面

企業活動において、Scope1・2の算定と報告が具体的に求められるのは、主に以下の4つの場面が想定されます。

1.取引先からの要請

近年、企業がScope1・2の算定を迫られる大きな理由の一つが、取引先からのGHG排出量のデータ提出要請によるものです。世界的に、企業が自社単独の排出だけでなく、事業に関わるサプライチェーン全体での排出量を把握・削減することが求められています。

例えば、大企業がScope3の排出量を正確に算定しようとした場合、部品や材料を供給しているサプライヤーの協力が不可欠となります。なぜなら、自社が排出するScope1・2は、取引先から見ればScope3の一部を構成しているからです。

このように、取引先が正確な一次データを集める過程で、自社に対してScope1・2の算定と報告を求める動きが急速に広がっています。

2.法的義務(省エネ法・温対法など)

一定以上のエネルギーを使用する、あるいはGHGを排出する事業者は、法律によって国へのGHG排出量の算定と報告が義務付けられています。主に以下の3つの法律が密接に関わってきます。

法律義務付けられる場面
省エネ法企業全体のエネルギー使用量が原油換算で年間1,500キロリットル以上の場合、特定事業者としてエネルギー使用状況を報告
温対法事業活動に伴って一定量(すべての事業所の合計でCO2換算3,000トン以上など)のGHGを排出する事業者の場合、排出量を算定し報告
フロン排出抑制法業務用エアコンや冷蔵機器などの管理者に対し、フロン類の漏えい量が一定基準(CO2換算で1,000トン以上)を超えた場合、排出量を算定し報告

対象となる要件やGHGに細かな違いはありますが、いずれの法律も「自社が直接的・間接的に出している排出」を管理する制度であるため、Scope1・2の算定が実務のベースとなります。

3.補助金・ESG融資

環境対策を推進するための設備投資(高効率空調や産業用ボイラーへの更新など)において、国や自治体の補助金を活用する場面が増えています。こうした補助金の多くは、申請時や事業完了後の報告において、Scope1・2に相当するCO2排出量の削減効果を定量的なデータとして提出することが要件となっています。

また、金融機関から「ESG融資」を受ける、あるいは融資の審査を有利に進めるためにもScope1・2のデータが必要となる場合があります。近年は金融機関が企業のESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みを評価し、融資の判断材料として考慮するケースが増えています。

そのため、資金調達において融資を受けられる可能性を高めたり、より良い融資条件を引き出したりするための客観的な裏付けデータとして、自社のScope1・2の提示や開示を求められることがあります。

4.SBT・CDP・TCFDなど環境認証・環境イニシアチブ

企業の気候変動対策を評価する国際的な枠組みに参加・賛同して自社の価値を高めていく場合も、Scope1・2の算定が重要です。これらの枠組みは目的こそ異なりますが、いずれも「GHG排出量の開示・報告」を共通の必須要件としています。

■環境認証・環境イニシアチブ例

環境認証・環境イニシアチブ内容
SBTパリ協定が求める水準と整合した、企業のGHG削減目標を認定する国際的な制度。申請にあたっては、子会社を含む企業全体のScope1・2をカバーする、すべての関連するGHGが対象
CDP環境に影響を与える主要な企業や自治体に対し、気候変動対策の情報開示を求める国際NGOのプロジェクト。毎年送られる質問書への回答において、Scope1・2の具体的な排出量の報告が求められる
TCFD企業に対して、気候変動が自社の財務に与えるリスクや機会の情報開示を促す枠組みを制定。開示を推奨するコア要素(指標と目標)の中に、Scope1・2の開示が明確に組み込まれている。2023年10月に解散し、現在はISSB(国際サステナビリティ基準審議会)に引き継がれている

いずれの枠組みも、世界的な環境評価の指標となっており、その報告の根拠となるScope1・2の正確な算定が欠かせません。

中小企業版SBTはScope1・2が申請に必須となる

SBTには、通常の申請に比べて手続きや要件が簡略化された「中小企業版SBT」という専用ルートが用意されています。この中小企業向けルートを利用して認定を取得する際、Scope1・2排出量の算定・報告と削減目標の設定が必須条件となります。

一方で、算定のハードルが高いScope3については、現時点では必須要件から外されています(将来的にScope3排出量の削減にも取り組むという宣言は必要)。つまり、Scope1・2排出量が正確に把握できていれば、SBT認定が取得できる仕組みとなっています。

自社が中小企業版SBTの要件に該当するのであれば、Scope1・2排出量の算定を行う機会に、そのデータを使用して中小企業版SBTの取得を目指しましょう。算定した客観的な数値を国際的な認証という形にして、脱炭素経営の対外的なアピールにつなげることができます。

取引先にSBT認定取得を要請されるケースもある

主要な取引先(大企業)から、Scope1・2排出量のデータ開示にとどまらず、SBT認定の取得そのものを促されるケースが増えていま

その理由は、大企業自身がサプライチェーン全体の排出量を削減する過程で、「サプライヤーにも気候科学に基づく削減目標を設定させること」を自社の目標として掲げている場合があるからです。

こうした背景から、近年では「SBT認定企業から優先的に調を行う」といった明確な調達基準を設ける企業も出てきています。突然の要請に慌てず、今後も取引先から選ばれ続けるパートナーであり続けるためにも、SBT認定の取得は非常に有効なステップと言えるでしょう。

Scope1・2の算定方法

Scope1・2排出量はどのように算定すればよいのでしょうか。

まず大前提として、GHGにはCO2以外にもCH4(メタン)やN2O(一酸化二窒素)などさまざまな種類がありますが、算定・報告を行う際はこれらをすべてCO2換算(二酸化炭素換算、CO2e)するルールとなっています。

これを踏まえた上で、基本的な算定の手順は以下の5つのステップで進めていきます。

Scope1・2の算定方法

上図のステップ3で実際に排出量を計算する際は、活動量(ガソリンの使用量や電気の使用量など)に、排出原単位(一定量あたりのCO2排出量)を掛け合わせて算出します。

詳しい計算式や、排出原単位の探し方などの具体的な方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

「Scope1・2=自社のGHG排出量」を知り、次のアクションにつなげよう

Scope1・2排出量を正確に知ることは、自社の脱炭素経営のはじめの一歩となります。算定したデータは、エネルギーコストの削減指標やSBT認定の取得、取引先からパートナーとして選ばれ続けるためのアピール材料となります。

まずは自社で使っているエネルギーの洗い出しからスタートし、Scope1・2の算定、そして具体的な脱炭素経営という次なるアクションへ自信を持って踏み出していきましょう。

HELLO!GREEN

執筆:HELLO!GREEN編集部

HELLO!GREENでは、これから脱炭素経営に取り組む中小企業の皆さまに向けて、有益な情報を発信しています。環境省認定制度「脱炭素アドバイザー アドバンスト」にも認定されている 「炭素会計アドバイザー」資格を持つ専門スタッフの知見を活かし、わかりやすく信頼できる記事づくりに努めています。

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