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GXの中小企業事例を紹介!業界別の取り組みと推進するポイント

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「GXに取り組みたいものの、どのように進めたらよいのかわからない」という中小企業の皆さまに参考にしていただきたいのが、他社の取り組み事例です。他社の取り組みを知ることで、「自社として何をすべきか」のヒントが得られるでしょう。

この記事では、GXに取り組む中小企業の事例を業界別に紹介します。中小企業におけるGX推進のポイントやGX関連の補助金など、すぐにでも役立つ情報も掲載していますので、ぜひご一読ください。

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記事の要点
  • 企業がGX(グリーントランスフォーメーション)に取り組むことは、「地球温暖化の抑制」「カーボンニュートラルの実現」という観点から非常に重要です。
  • この記事では、GXに取り組む中小企業の事例を業界別に紹介。自社の取り組みを考える際の参考にしてください。
  • 中小企業におけるGX推進のポイントは、「自社の温室効果ガス排出量を把握する」「取り組みの成果について、長期的な視点を持つ」の2つです。
目次

GX(グリーントランスフォーメーション)の基礎知識

GX(グリーントランスフォーメーション)の取り組み事例について紹介する前に、まず知っておきたいのが、GXの定義です。

GXとは、化石燃料(石油・石炭・天然ガスなど)の使用を抑え、クリーンエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた活動のこと。具体的には、「太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用し、事業所をZEB(快適な室内環境を実現しつつ、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物)に転換する」などが該当します。

なお、環境省や経済産業省(資源エネルギー庁)のホームページでは、以下のように定義されています。

■環境省における定義

産業革命以来の化石燃料中心の経済・社会、産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させ、経済社会システム全体の変革、すなわち、GX(グリーントランスフォーメーション)を実行するべく、必要な施策を検討するため、GX実行会議を官邸に設置しました。
引用:環境省 脱炭素ポータル『トピックス|GX(グリーントランスフォーメーション)

■資源エネルギー庁における定義

「GX」とは、「グリーントランスフォーメーション(Green Transformation)」のことです。これまでの化石エネルギー(石炭や石油など)中心の産業構造・社会構造から、CO2を排出しないクリーンエネルギー中心に転換することを意味します。
引用:経済産業省 資源エネルギー庁『「GX実現」に向けた日本のエネルギー政策(前編)安定供給を前提に脱炭素を進める

企業がGXに取り組む重要性

GXは、「地球温暖化の抑制」「カーボンニュートラルの実現」という観点から重要です。

「昔よりも猛暑日が増えた」「以前よりも冬場の気温が高くなった」というように、地球温暖化を実感している方も多いでしょう。その地球温暖化の一因となっているのが、人々の経済活動に起因した温室効果ガスの大量排出です。化石燃料は商品の製造や輸送、廃棄などさまざまな場面で使われていますが、使用の際にはCO2をはじめとする温室効果ガスが排出されます。企業活動においては大量の温室効果ガスが排出されるため、企業としては早急にGXに取り組むことが重要です。

また、世界全体におけるカーボンニュートラル実現に向けた動きも、GXの推進につながっています。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの人為的な排出量と吸収量を均衡させること。日本政府は、2050年までにカーボンニュートラルを実現する旨を表明しています。カーボンニュートラル実現のためにも、GXの活動は有用であると考えられるでしょう。

参考:経済産業省(METI Journal ONLINE)『60秒早わかり解説 知っておきたい経済の基礎知識~GXって何?

【業界別】GXに取り組む中小企業の事例

業界によって、GX実現に向けた取り組みはさまざまです。ここでは、GXに取り組む中小企業の事例を業界別に紹介します。

参考:資源エネルギー庁『再エネガイドブックweb版
参考:ミラサポplus(中小企業向け補助金・総合支援サイト)『支援事例を探す(事例ナビ)

【製造業】メイドイン沖縄の電動モビリティの開発

電気自動車の要素開発や電動カート開発に携わってきた株式会社イメイドでは、顧客要望に柔軟に対応するために、メイドイン沖縄の電動モビリティの開発を開始。併せて、電動カートの離島展開の可能性調査を実施するなど、地域全体のGX化推進にも貢献しています。

企業名株式会社イメイド
取り組み内容・顧客要望への柔軟な対応と沖縄県の製造業振興を目的に、メイドイン沖縄の電動モビリティの開発を開始(デザイン、設計、製作のすべてを社内で一貫して実施)
・電動カートの離島展開の可能性調査を実施
・宮古島などの離島地域でPPA事業(太陽光発電や蓄電池を無料設置し、設備保守メンテナンスを担う事業)を行う事業者との連携(電動モビリティの導入)
取り組みの効果自社製品の付加価値が向上した。地域全体のGX化推進に寄与できた。

【製造業】その他の取り組み

製造業では、上で紹介した取り組み以外にも以下のようなことが行われています。

■製造業における取り組み例

  • 顧客のGX化推進に寄与する製品の開発
  • 工場の屋根への太陽光発電パネルの設置 など

【小売業】地中ヒートポンプの採用や太陽光発電の大規模導入

「環境に配慮した店づくり」を環境方針に掲げる株式会社イズミでは、ZEB化ショッピングセンターを目指しています。先進的な地中ヒートポンプを採用したり、太陽光発電を大規模に導入したりしました。

企業名株式会社イズミ
取り組み内容・空調設備について、先進的な地中ヒートポンプを採用
・屋上に、大規模な太陽光発電パネルを導入
取り組みの効果ZEB化された郊外型大型店舗を建設できた。

【小売業】その他の取り組み

小売業では、上で紹介した取り組み以外にも以下のようなことが実施されています。

小売業における取り組み例

  • 宅配サービスの配送車両のEV化
  • 店舗駐車場へのソーラーカーポートの設置 など

【建設業】地中熱利用や太陽光発電などによる本社のZEB化

福島県の掲げる「再生可能エネルギー推進ビジョン」に共感し、カーボンニュートラルに果敢に挑戦してきた建設業の新協地水株式会社では、地中熱利用や太陽光発電などにより、本社をZEB化。地中熱や水素といった新エネルギーの活用・普及も推進しており、地球環境と地域社会に貢献しています。

企業名(事業所名)新協地水株式会社
取り組み内容・断熱材や複層ガラス、地中熱利用などの「省エネ」と、太陽光発電の「創エネ」を取り入れ、本社社屋をZEB化
・災害時の備えとして、EV自動車による長時間安定した電力供給を可能にするEV用充放電器と蓄電池を一体化したシステムを導入
取り組みの効果本社のZEB化により、2022年度は28.52tのCO2削減を実現

【建設業】その他の取り組み

建設業では、上で紹介した取り組み以外にも、以下のようなことが行われています。

■建設業における取り組み例

  • 環境配慮型コンクリートの開発・導入
  • 建設物資を輸送する車両のEV化 など

【電力事業】地域におけるエネルギーの地産地消推進

葛尾村スマートコミュニティの実現を目指して設立された葛尾創生電力株式会社では、同村内におけるエネルギーの地産地消を推進しています。具体的には、EV・充放電器や急速充電器などを村内に設置しました。

企業名葛尾創生電力株式会社
取り組み内容・村内に、充放電器を2箇所、急速充電器を1箇所を設置
・村内に、3MWの蓄電池やEV2台を導入
取り組みの効果エネルギーの地産地消が進んだ。村内における雇用創出や、災害時の電力供給体制の構築に寄与した。

【発電事業・養殖事業】バイナリー発電設備の導入と冷却水・温泉水のエビ養殖への活用

福島県福島市の株式会社元気アップつちゆでは、市内にある温泉の源泉源泉から湧出する蒸気・熱水を活用できるバイナリー発電設備を導入発電後の冷却水と温泉水は、同社のエビ養殖事業に活用しています。

企業名株式会社元気アップつちゆ
取り組み内容・市内の土湯温泉の源泉から湧出する蒸気・熱水を使用できる、最大出力:440kWのバイナリー発電設備を導入
・発電後の冷却水(約21℃)と温泉水(約65℃)を活用し、オニテナガエビの養殖に最適な水温(25℃前後)に保つ熱交換装置を設置
取り組みの効果・光熱費が高くて国内では進んでなかったエビ養殖事業を行えるようになった。
・バイナリー発電所にエビ養殖施設や展望デッキを併設したことで、観光の活性化や東日本大震災で被害を受けた温泉街の復興にも寄与した。

【参考】大企業におけるGX推進事例

ここでは、参考までに大企業2社におけるGX推進事例を紹介します。

参考:資源エネルギー庁『再エネガイドブックweb版

イケア・ジャパン株式会社|店舗の再生可能エネルギー使用を促進

「Energy Independent(イケアは外部からの電気に依存しない)」という長期目標を掲げ、すべての建物で再生可能エネルギーのみを使用することを目指している、家具販売チェーン世界大手のイケア。太陽光パネルの設置や電気自動車(EV)による配送など、バリューチェーン全体で再生可能エネルギーの使用を進めています

取り組み内容・太陽光パネルと地中熱を利用した空調システムを導入
・配送サービスにEV車を導入
取り組みの効果・店舗運営における再生可能エネルギー利用率100%を達成した
・CO2排出量の大幅削減につながった

ハウステンボス株式会社|太陽光発電と農業の融合

従来から「太陽光発電設備の設置」や「園内の植物工場で栽培したリーフレタス・ベビーリーフの園内レストランでの消費」などを進めてきた、長崎県のハウステンボス。環境省の補助金事業をきっかけに、太陽光発電と農業を融合して、電力とブルーベリーを園内で自家消費する取組みに挑戦することになりました。

取り組み内容・園内の約2300平米の敷地に太陽光発電パネルを設置し、ブルーベリーを栽培
・園内で栽培されたブルーベリーを使った料理を、園内の飲食店で提供
取り組みの効果・補助金の活用もあり、営農型太陽光発電という先進的な取り組みに積極的な姿勢をとることができた。
・観光農園の視察を受け入れたことで、ハウステンボスのイメージアップや認知度の上昇につながった。

中小企業におけるGX推進のポイント

中小企業におけるGX推進のポイントは、以下の2つです。

■中小企業におけるGX推進のポイント

  • 自社の温室効果ガス排出量を把握する
  • 取り組みの成果について、長期的な視点を持つ

それぞれについて、解説します。

自社の温室効果ガス排出量を把握する

GXを推進するためには、自社の温室効果ガス排出量を正確に把握することも必要です。どの場面・部門でどのくらい温室効果ガスを排出しているかを知った上で、GX実現に向けてどういったことに取り組んでいくかを考えましょう。

温室効果ガス排出量は、自社のほか取引先から消費者まで一連の流れを含む「サプライチェーン排出量」を把握するのが望ましいです。サプライチェーン排出量とは、電力の使用や外部業者に依頼した輸送なども含め、事業に関連するあらゆる活動から排出される温室効果ガスの総量のこと。下の図のように、自社のみならず、サプライチェーンの上流・下流における温室効果ガス排出も、対象に含まれます。

サプライチェーン排出量のイメージ
参考:環境省『サプライチェーン排出量算定について|サプライチェーン排出量全般』を加工して作成

なお、GX推進の一環としてサプライチェーン排出量を把握する中小企業には、「中小企業版SBT」の取得もおすすめです。そもそも、SBTとは「パリ協定が求める水準と整合した、企業が設定する温室効果ガス排出削減目標」のこと。通常版のほかに中小企業版SBTがありますが、中小企業版SBTは中小企業向けに申請方法が簡略化・費用が通常版よりも安くなっているものを指します。取得することで、「環境経営のアピール」「環境に関わる融資の獲得」といったメリットが期待できます。

HELLO!GREENでは、GXを推進したい中小企業さまをご支援するために「中小企業版SBT認定」申請支援を行っています。環境省認定「脱炭素アドバイザー」が認定取得まで一気通貫でサポートいたしますので、少しでも不安がある場合はお気軽にお問い合わせください。

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サプライチェーン排出量について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

取り組みの成果について、長期的な視点を持つ

GX推進の取り組みは、必ずしもすぐに成果が出るものばかりではありません。「再生可能エネルギーへの転換」のように比較的短期間で効果を実感できるものがある一方で、「脱炭素化に向けた新技術の開発」のように成果が出るまでに長い年月がかかるものもあります。

このため、「GXに取り組んでも、短期的にはメリットを期待できないのでは」と感じる方もいるかもしれません。しかしながら、GX推進に取り組んでいくことで投資家や顧客からの評価を高められるため、長期的に見れば、企業にとってメリットとなります。先を見据えて、GXを推進しましょう。

政府によるGXの取り組み

日本政府は、国全体としてGXを推進するため、さまざまなことに取り組んでいます。政府による主な取り組みを、表にまとめました。

主な取り組み概要
「GX実行会議」の開催(2022年7月、第1回会議を開催)・GX実行に向けて必要な施策を検討するための会議
・内閣総理大臣やGX実行推進担当大臣兼経済産業大臣、環境大臣、有識者などで構成される
・2024年末までに計14回開催されている
「GX実現に向けた基本方針」の策定(2023年2月、閣議決定)・「2030年度の温室効果ガス46%削減」「2050年カーボンニュートラル達成」を目指すとともに、「エネルギー需給構造の転換の実現」「日本の産業構造・社会構造の変革」を図り、全国民が希望を持って暮らせる社会を実現するための今後10年を見据えた取り組み方針を取りまとめたもの
・「第6次エネルギー基本計画」「地球温暖化対策計画」「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」のほか、GX実行会議での議論も踏まえ、策定された
「GXリーグ」の設立(2023年4月、本格的な活動を開始)・カーボンニュートラルへの移行に向けた挑戦を果敢に行い、国際ビジネスで勝てる企業群が、GXを牽引する枠組み(2023年2月時点での賛同企業数は679社)
・「自主的な排出量取引(GX-ETS)」「市場創造のためのルール形成」「ビジネス機会の創発のための対話」などをおこなっている
「GX2040ビジョン」の策定・国際情勢の変化による影響などを受け、将来の見通しに対する不確実性が高まっている中、GXに向けた投資の予見可能性を高めるため、長期的な方向性を示したもの
・GX実行会議主導の議論を踏まえ、2023年7月策定の「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」を改訂する形で策定された

参考:内閣官房『GX実行会議』『GX 実現に向けた基本方針~今後 10 年を見据えたロードマップ~』『GX2040ビジョン~脱炭素成長型経済構造移行推進戦略 改訂~

参考:GXリーグ『GXリーグ活動概要~What is the GX League~

GXに関連した補助金制度

日本政府は、GXを推進させるためにさまざまな補助金制度を設けています。

令和7年度予算案では、以下のようなものがあります。

■GXに関連した補助金制度(令和7年度予算案)の例

補助金制度概要
地域脱炭素実現に向けた再エネの最大限導入のための計画づくり支援事業再エネの最大限の導入と地域人材の育成を通じた持続可能でレジリエントな地域づくりを支援することを目的としたもの
ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業ペロブスカイト太陽電池(ペロブスカイト結晶構造という独自の構造を持つ化合物を用いた太陽電池)の国内市場立ち上げに向け、社会実装モデルの創出に貢献する自治体・民間企業を支援することを目的としたもの
民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業民間企業などによる自家消費型・地産地消型の再エネ導入を促進し、再エネの導入及び地域共生の加速化を図ることを目的としたもの
参考:環境省『令和7年度予算(案)及び 令和6年度補正予算 脱炭素化事業一覧

年度によって、補助金の種類・内容が若干変更されることもありますので、環境省のホームページなどで最新情報を確認しましょう。

また、上の表で紹介したもの以外についても知りたい方には、こちらの記事も参考になります。

GXの中小企業事例を参考に、自社に合った取り組みを始めよう

GXに取り組む中小企業の事例を業界別に紹介しました。自社と近しい業界の事例を参考に、「どのような取り組みを行っていくか」を検討するとよいでしょう。

なお、中小企業でGXを推進する際は、「自社の温室効果ガス排出量を把握する」「取り組みの成果について、長期的な視点を持つ」の2つを意識することが大切です。施策を進める上で何かお困りのことがありましたら、HELLO!GREENまでお気軽にお問い合わせください。

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