企業の電気代削減方法。コスト削減を企業価値につなげるコツも解説

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「電気代削減 」というキーワードで検索されている方の中には、「どれだけ節電を徹底しても、毎月の請求額が下がらない……」と頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。
近年、燃料価格の高騰や円安の影響により、企業の電気料金負担はかつてないほど重くなっています。しかし、この局面を「ただ耐える時期」とするか「攻めの経営への転換点」とするかで、将来の企業競争力は大きく変わります。
今、電気代を削減することは、単なる支出の抑制ではありません。省エネ法の改正や炭素税(カーボンプライシング)の本格導入を見据えると、「今動くこと」こそが最も経済合理性が高い選択といえるのです。
本記事では、具体的な削減手法に加えて、削減の実績を「信頼」という武器に変え、取引先や求職者から選ばれる企業になるためのコツを紹介します。
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- 高騰する電気代への対策は、単なるコストカットではなく、企業の存続と競争力を左右する経営の重要課題です。
- 基本料金の抑制や設備更新など、即効性と長期的な視点の両面から取り組むことが、高騰に負けない経営体質を作ります。
- 電気代削減の実績をCO2排出量として可視化し、SBT認定などを通じて社外へ発信することで、取引先や求職者からの信頼獲得につながります。
なぜ今、企業の電気代削減が重要なのか
多くの企業にとって、電気代の高騰は経営を圧迫する深刻なリスクとなっています。資源エネルギー庁の「エネルギー白書2024」によると、日本の電気料金は世界的に見ても高い水準にあり、日本はエネルギー自給率が低く、特に輸入燃料への依存度が大きい現状では、国際情勢の影響をダイレクトに受けやすい構造になっています。
これまでは「こまめに電気を消す」といった個人の努力による節電が中心でしたが、それだけでは高騰分をカバーしきれないのが実情です。また、今後は「炭素税」などのカーボンプライシングの導入が加速し、CO2を排出すること自体にコストがかかる時代がやってきます。
つまり、今のうちに電気使用量を減らし、非化石エネルギーへの転換を進めることは、将来的なコスト増を回避するための「先行投資」としての意味合いを強く持っています。経営上の支出を減らしつつ、その取り組みを対外的なアピール材料に変えていく視点が、これからの時代には不可欠です。
(参考:資源エネルギー庁『エネルギー白書2024』)
企業の電気代削減方法5選│即効性から設備投資まで
企業の電気代を効果的に減らすためには、料金体系の仕組みを正しく理解し、自社に合った対策を組み合わせることが重要です。ここでは、即効性のあるものから、中長期的なメリットを生む5つの方法を紹介します。
1.【基本料金を抑える】最大需要電力(デマンド)の徹底管理
法人の電気料金は、過去1年間の「最大需要電力(デマンド値)」によって基本料金が決定する仕組みが一般的です。デマンド値とは、30分ごとの平均使用電力のうち、最も高い値のことです。
たとえ1年間のほとんどの期間で節電できていても、特定の30分間にエアコンや機械を一斉に稼働させてデマンド値が跳ね上がると、その後1年間の基本料金がその高い基準で固定されてしまいます。
■削減のコツ
| 1.ピークカット(使用の抑制) | 電力使用が集中する時間帯に、一部の設備の稼働をずらす手法 |
| 2.デマンド閲覧・監視 | デマンドモニターを導入し、設定した目標値を超えそうになった際にアラートを鳴らすことで、意識的にピークを抑える |
特定の瞬間の電力使用を管理するだけで、年間を通じた固定費を大幅に下げることが可能になります。
2.【契約プランの最適化】自社の稼働状況に合う電力会社の再選定
電力小売り全面自由化以降、多様なプランが選べるようになりました。自社の稼働状況に合うプランへの変更は、手軽で効果的な削減策です。
特に注目される「市場連動型プラン」は、日本卸電力取引所(JEPX)の価格に連動する仕組みです。市場価格が安い時期や時間帯に電気を使えば、従来の固定プランより大幅にコストを抑えられるメリットがあります。一方で、燃料不足や需給逼迫時には単価が急騰し、支払い額が想定を大きく上回るリスクも併せ持ちます。
導入には、価格変動のリスク許容度を見極めることが不可欠です。まずは直近1年分の検針票や電力使用データを分析し、複数の電力会社から自社に最適なプランの見積もりを取ることから始めましょう。
3.【設備更新】補助金を活用したLED・空調投資
古い設備を最新の省エネ機器へ更新することは、電気代削減において最も確実な効果を発揮します。特に照明のLED化や、10年以上前の空調設備の更新は、消費電力を30%〜50%程度削減できることも珍しくありません。
ネックとなるのは導入コストですが、国や自治体の補助金を活用することで、投資回収期間を大幅に短縮できます。
■代表的な補助金の例
- 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金
- 既存建築物省エネ化推進事業
補助金は公募期間が決まっているため、計画的な準備が必要です。また、設備更新は単なるコスト削減だけでなく、従業員の労働環境改善にもつながるメリットがあります。
補助金申請から受給までの流れや補助金の注意点などは、以下の記事が参考になります。
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4.【システム化】個人の努力に依存しない自動省エネの仕組み作り
「使っていない部屋の電気を消す」というルールを徹底するのは重要ですが、個人の意識に頼りすぎる対策は長続きせず、限界があります。そこで有効なのが、BEMS(ビルエネルギー管理システム)などの活用です。
BEMSを導入すると、照明や空調の稼働状況をデータで可視化し、必要に応じて自動で制御できるようになります。
■システム化によるメリット
- 人がいない場所の照明を自動で消灯、減光
- デマンド値が目標を超えそうなとき、空調の出力を自動で調整
- 蓄積されたデータを分析し、さらなる無駄を特定
「仕組み」で省エネを自動化することで、従業員の負担を増やさずに、安定した削減効果を継続させることができます。
5.【創エネ・自家消費】PPAモデルで買う電気を減らす
「電気を節約する」から一歩進んで、「自社で使う電気を作る」という発想への転換です。太陽光発電パネルを屋根や遊休地に設置し、発電した電気を自社で消費することで、電力会社から購入する電気の量を物理的に減らします。
特に注目されているのが「PPAモデル(電力販売契約)」です。これは、第三者が企業の敷地に太陽光発電設備を設置・所有し、企業はそこで発電された電気を使用分だけ買い取る仕組みです。
■PPAモデルのメリット
- 初期投資ゼロで太陽光発電を開始できる
- 設備のメンテナンス費用や修繕の手間がかからない
自家消費による電気代削減は、CO2排出量の削減にも直結するため、脱炭素経営の強力な一手となります。
電気代削減を企業価値へ│信頼を勝ち取るための新発想
電気代を削減することの真の価値は、単なる「経費節減」に留まりません。削減活動によって得られたデータや実績は、適切に活用することで、企業の「信頼性」を高める強力な広報ツールとなります。
特に近年では、取引先企業から「環境負荷低減への取り組み」をサプライヤー選定の基準として問われるケースが増えています。また、求職者、特に若い世代は企業の社会貢献性や持続可能性(サステナビリティ)を重視する傾向にあります。
電気代削減の結果を、どのようにして「企業価値」へと昇華させるべきか、その具体的なステップを解説します。
電気代削減をCO2排出量で「見える化」しよう
まずは、削減した電力(kWh)を「CO2排出量」に換算することから始めましょう。環境省の指針に基づき、電力会社が公表している排出係数を用いることで、自社の事業活動による環境負荷を数値化できます。
例えば、「年間1万kWhの節電に成功した」という報告よりも、「年間のCO2排出量を〇〇トン、前年比〇%削減した」と表現するほうが、国際的なビジネスの文脈では共通言語として伝わりやすくなります。
CO2排出量の「見える化」を進める主な流れは以下になります。一例として、カーボンフットプリント※の実践ステップを見てみましょう。
※カーボンフットプリント=製品を作るための原材料調達、生産、販売、廃棄といった、製品のライフサイクルでのCO2排出量を計算する。企業で使用されているCO2排出量算定におけるアプローチ法の一つ

この「見える化」されたデータこそが、対外的な情報発信の根拠となり、客観的な信頼を支える土台となります。
取引先や求職者から評価される情報発信~コツ3選~
数値を可視化できたら、それを戦略的に発信していきましょう。単に「取り組んでいます」と言うだけでなく、相手に「この企業は信頼できる」と思わせる発信のコツを紹介します。
1.取り組みの現状をありのままに開示し、透明性を高める
完璧な成果が出るまで隠すのではなく、現在進行形のプロセスを公開することが信頼につながります。
「現在の排出量はこれくらいで、今後はこうした設備投資で〇%削減を目指している」といったロードマップを提示しましょう。ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)などの潮流でも、情報の透明性と比較可能性が重視されています。未完成な状態であっても、誠実に向き合っている姿勢が評価される時代です。
2.環境貢献と経営上の実益をセットで発信する
「環境のために無理をして取り組んでいる」という印象を与えてしまうと、持続可能性への疑問を持たれる可能性があります。
「省エネ投資によって電気代を年間〇〇万円削減し、その分を製品開発や従業員の待遇改善に充てている」というように、環境対策が経営の健全化に寄与していることをセットで伝えましょう。経済合理性と環境貢献を両立させている姿は、取引先にとっても魅力的なパートナーとして映ります。
3.SBTなどの国際基準を信頼の裏付けとして活用する
自社独自の主張だけでなく、公的な第三者認証を得ることは、社外への信頼性を担保する最強の武器になります。特におすすめなのが、国際イニシアチブが認定する「中小企業版SBT(Science Based Targets)」です。
SBTとは、パリ協定が求める水準(世界の気温上昇を1.5℃に抑える目標)と整合した、科学的根拠に基づく温室効果ガス削減目標を指します。通常、SBT認定を得るにはサプライチェーン全体(Scope 3)の算定など高度な専門性が求められますが、中小企業向けには「簡略化された承認ルート」が用意されています。

SBT認定の取得は、グローバルな脱炭素基準を実践している証明となります。大手企業との取引継続や、ESGを重視する金融機関からの融資において、圧倒的な優位性を築けるはずです。
以下の記事では、中小企業版SBT認定の取得により「攻めの脱炭素」を進める企業事例を紹介しています。ぜひご覧ください。
電気代削減で脱炭素経営の一歩を踏み出そう
企業の電気代削減は、目の前の支出を抑えるためだけの活動ではありません。それは、変化の激しいエネルギー情勢に対応できる強靭な経営基盤を作り、同時に「選ばれる企業」としてのブランドを築くための第一歩です。
まずは、自社の電力使用状況を正確に把握すること。そして、ピークカットや設備更新といった具体的なアクションを起こし、その成果を数値化して社内外へ発信してください。
「今、動くこと」が、結果として最も安上がりで、かつ最もリターンの大きな投資になります。支出を減らし、信頼を増やす。この好循環を作り出すことで、持続可能な未来に向けた脱炭素経営の道を力強く進んでいきましょう。
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