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炭素生産性とは?計算式や向上に向けて中小企業ができる取り組み5選

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温室効果ガス排出量当たりの「国内総生産(GDP)」または「企業の付加価値額」を意味する、炭素生産性。企業としてカーボンニュートラルや脱炭素の実現に向けた取り組みを進める中で、「炭素生産性」という用語があることを知った方もいるでしょう。日本の現状も気になるところです。

この記事では、計算式をはじめとする炭素生産性の概要や、向上に向けて中小企業ができる取り組みなどをわかりやすく解説します。これを読めば、炭素生産性への理解が深まるとともに、中小企業における炭素生産性向上の重要性・メリットも明確になるでしょう。中小企業にとって役立つ情報を紹介していますので、ぜひご一読ください。

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記事の要点
  • 炭素生産性とは、温室効果ガス排出量当たりの「国内総生産(GDP)」または「企業の付加価値額」のこと。脱炭素化社会の実現という観点から、重要な指標です。
  • 中小企業は親会社・取引先から炭素生産性向上を要請される可能性があります。炭素生産性向上は企業にとってさまざまなメリットももたらすため、積極的に施策を実行していきましょう。
  • 炭素生産性向上に向けて中小企業ができることは、「省エネの徹底」「太陽光発電パネルの導入」「中小企業版SBTの取得」などです。
目次

炭素生産性とは?

炭素生産性(carbon productivity)とは、温室効果ガス排出量当たりの「国内総生産(GDP)」または「企業の付加価値額」のことです。「国全体」という視点では「国内総生産(GDP)」に、「個々の企業」という視点では「企業の付加価値額」に着目します。

炭素生産性は、「脱炭素社会の実現」という観点から重要な指標です。脱炭素社会とは、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする社会のこと。地球温暖化の抑制などを目的に、世界全体として脱炭素社会を実現することが求められています。「炭素生産性が高い=脱炭素化が進んでいる」ことを意味するため、炭素生産性は「値が大きい」ほど良いです。

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炭素生産性の計算式

「国全体」「個々の企業」という2つの視点から、炭素生産性の計算式を紹介します。

「国全体」という視点での計算式

「国全体」という視点での炭素生産性の計算式は、以下の通りです。

■「国全体」という視点での炭素生産性の計算式
炭素生産性=国内総生産(GDP)÷温室効果ガス排出量

国内総生産(GDP)については、国同士で比較できるよう、米ドルに換算するのが一般的です。炭素生産性が高い国は、低い国に比べて、脱炭素化が進んでいるといえますね。

「個々の企業」という視点での計算式

「個々の企業」という視点での炭素生産性の計算式は、以下の通りです。

■「個々の企業」という視点での炭素生産性の計算式
炭素生産性=企業の付加価値額÷エネルギー起源CO2排出量

「企業の付加価値額」とは、「営業利益」「人件費」「減価償却費」の合計です。また、エネルギー起源CO2排出量とは、燃料の燃焼や供給された電気・熱の使用に伴って排出されるCO2の量のことをいいます。

例として、A社とB社の付加価値額が同額で、エネルギー起源CO2排出量はA社の方がB社よりも少なかったとしましょう。その場合、エネルギー起源CO2排出量の少ないA社の方が、B社よりも炭素生産性が高いということになります。

日本の炭素生産性の推移・現状

ここでは、内閣府の『令和4年度年次経済財政報告』に基づき、日本の炭素生産性の推移・現状を紹介します。

同資料によると、日本の炭素生産性は2020年時点では約4000米ドル/トンで、比較対象の5カ国・地域中「第3位」でした。2030年には、約7000米ドル/トンとなる見通しです。

日本の炭素生産性は、2000年頃から微増傾向が続いています。しかしながら、2000年時点では比較対象の5カ国・地域中「第1位」だったことを踏まえると、日本の炭素生産性の優位性が相対的に低下していることが伺えます。このことから、「他国・地域と比較した際の優位性をいかにして高めていくか」が日本にとっての課題であると考えられますね。日本の炭素生産性を向上させるには、日本企業全体で取り組みを進めていく必要があるでしょう。

炭素生産性の推移
参考:内閣府『令和4年度年次経済財政報告(第3章第2節)』を加工して作成

炭素生産性とあわせて知っておきたい用語・制度

ここでは、炭素生産性と関連のある用語・制度である「脱炭素経営」と「カーボンニュートラル税制(CN税制)」について、概要や炭素生産性との関係を紹介します。

脱炭素経営

脱炭素経営とは、気候変動対策(≒脱炭素)の視点を織り込んだ企業経営のこと。「自社の現状把握」「温室効果ガス排出量の測定」「温室効果ガス排出量削減のターゲットの特定」「温室効果ガス排出量の削減」の順に進めます。

脱炭素化経営を推進する際は「温室効果ガスの排出削減」にのみ焦点が当たりがちです。しかしながら、企業経営という観点からは、「企業が生み出す付加価値の向上」も図る必要があります。

つまり、炭素生産性の向上が、脱炭素化経営の成功のカギとなるのです。炭素生産性の向上を図り、これまでよりも少ないCO2排出量で企業としてより大きな付加価値を生み出せるようになれば、脱炭素経営の実現に近づきます。「脱炭素経営の実現に向けた企業の取り組みが順調に進んでいるか」を判断する指標の一つが炭素生産性であると覚えておきましょう。

カーボンニュートラル税制(CN税制)

カーボンニュートラル税制(CN税制)とは、生産工程の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備の導入に対する税制措置のこと。所定の要件を満たす場合、税額控除または特別償却が受けられます。

同税制の適用にあたっては、「エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画」の認定を受ける必要がありますが、その計画で示すべき内容の一つが「炭素生産性の向上率」です。企業としては、「カーボンニュートラル税制を受けるには、炭素生産性の算出が欠かせない」と覚えておきましょう。

中小企業における炭素生産性向上の重要性・メリット

「大企業だけが、炭素生産性の向上を図ればよいのでは」と考える方もいるかもしれません。しかしながら、中小企業であっても、炭素生産性向上に取り組むことをおすすめします。

その理由としては、大企業を中心に「サプライチェーン排出量」の情報開示が進んでいることが挙げられます。サプライチェーン排出量とは、原材料の仕入れ~製品の生産~廃棄処理といった、製品や事業に関連する全ての活動から排出される温室効果ガスの総量のこと。中小企業は、サプライチェーン排出量の情報開示を進める親会社や取引先から、CO2排出削減、ひいては炭素生産性向上を要請される可能性があります

また、炭素生産性向上は、「エネルギーコストの削減」「企業全体としての生産性向上」「企業の競争力強化」「投資家や金融機関からの信頼性向上」などにもつながります。このようなメリットが期待できるため、中小企業の中長期的な成長に大きく寄与するといえるでしょう。

中小企業としては、こうした重要性・メリットをしっかりと認識し、自社ができる取り組みを確実に実行していきましょう。

炭素生産性向上に向け、中小企業ができる取り組み5選

炭素生産性向上に向けては、「付加価値額を上げる」「CO2排出量を減らす」という2つのアプローチがあります。企業によって「付加価値額を上げる」方法はさまざまなため、ここでは中小企業ができる「CO2排出量を減らす」ための取り組みを紹介します。

■中小企業ができる取り組み5選

  • 省エネの徹底
  • 太陽光発電パネルの導入
  • エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入
  • 生産・業務プロセスの見直し
  • 中小企業版SBTの取得

それぞれについて、見ていきましょう。

省エネの徹底

明日からでも実践できるのが、省エネの徹底です。省エネによりエネルギーの使用量が減れば、自ずとCO2排出量は削減され、炭素生産性を向上できます。具体的には、以下のようなことに取り組みましょう。

■省エネの具体例

  • 無理のない範囲で、エアコンの設定温度を調整する
  • 部屋を使用していないときは、必ず照明をオフにする
  • エネルギー効率のよい空調・照明機器を使うようにする(エアコンの買い替え、蛍光灯からLED照明への切り替えなど)
  • 製造業の場合には、生産設備を省エネ効果の高いものに切り替える

太陽光発電パネルの導入

CO2排出量削減により炭素生産性を向上させるには、発電時にCO2を排出しない太陽光発電を活用することも有効です。オフィスや工場の屋上、会社の敷地内、カーポートの屋根などに太陽光発電パネルを設置しましょう。

なお、設備導入にあたりコスト面が課題となる場合には、各種補助金・助成金の活用を検討することをおすすめします。

エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入

エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは、企業や施設がエネルギーの使用状況を効率的に管理・最適化するためのシステムのこと。以下のように、活用できます。

■EMSの主な活用例

  • 季節や時間帯による消費量の変動を分析し、空調など設備の運転を最適化する
  • 人感センサーと連動して照明を自動点灯・消灯する
  • 工場の生産ラインの稼働状況を監視し、異常を早期に感知する

EMSを活用し、エネルギー使用量をリアルタイムで監視することで、無駄なエネルギー使用の洗い出しなどがしやすくなり、CO2排出量削減や炭素生産性向上につながるでしょう。

生産・業務プロセスの見直し

上で紹介した3つの取り組みとあわせて実践したいのが、生産・業務プロセスの見直しです。EMSなどを活用して「CO2排出量が多いのはどの工程か」を分析し、「どうすれば排出量を減らせるのか」を検討し、見直しを図りましょう。そうすることで、CO2排出量を削減しやすくなり、炭素生産性の向上につながります。

例として、温室効果ガス排出量が多いのが廃棄物処理だった場合、ゴミとなるもの自体を減らす方法を考え、実践するとよいでしょう。

中小企業版SBTの取得

中小企業版SBT(Science Based Targets)とは、中小企業が温室効果ガスの削減目標を設定し、SBTi(SBTの運営機関)が目標を妥当とみなせば取得できる認定のこと。取得に向けて動く中で、CO2排出削減に向けた取り組みを加速でき、炭素生産性を向上しやすくなります。

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炭素生産性向上に向け、できることから取り組もう

炭素生産性の向上は、脱炭素化社会の実現という観点から重要な指標です。日本の炭素生産性を向上させるには、社会全体で取り組みを進めていく必要があります。

中小企業の場合には、親会社や取引先などから炭素生産性の向上を要請されるケースも想定されます。また、炭素生産性を向上させることで、「エネルギーコストの削減」「企業全体としての生産性向上」といったメリットも期待できます。

こうした理由から、中小企業としてできる取り組みを確実に実行していくことが重要です。具体的には、「省エネの徹底」や「太陽光発電パネルの導入」「中小企業版SBTの取得」などを進めていきましょう。

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