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グリーンウォッシュとは?意味や景表法・SBT認定との関係性などを徹底解説

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近年、世界的に環境意識が高まる中で、企業がサステナビリティやESG経営に積極的に取り組むことは、もはや必須要件となっています。しかし、環境に配慮していると見せかけながら、実際には実態が伴っていないマーケティング活動が問題視されており、これが「グリーンウォッシュ」と呼ばれています。このグリーンウォッシュは、消費者に誤解を与え、真に環境改善に取り組む企業の努力を損なうだけでなく、企業の信頼を失墜させ、法的な制裁を受けるリスクも伴います。本記事では、国内外の動きも含め、グリーンウォッシュについて解説します。

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記事の要点
  • 「グリーンウォッシュ」の定義とリスクを理解し、「7つの罪」をチェックリストとして活用して、不当な環境主張を回避すること。
  • 景品表示法やEUの規制(グリーン・クレーム指令案など)といった国内外の法規制を把握し、法的な罰則と信用の失墜を防ぐこと。
  • 曖昧な表現を排し、科学的根拠に基づく透明性の高い情報開示を行うこと。その信頼性を証明する具体的なアクションとして、SBT認証の取得を検討すること。
目次

グリーンウォッシュとは?なぜ今、企業に問われるのか

グリーンウォッシュ(Greenwashing)とは、企業が自社の商品やサービス、または企業活動全体について、実際には環境に配慮していない、あるいはごく一部しか配慮していないにもかかわらず、あたかも環境に優しいかのように誇張して宣伝する行為のことを指します。直訳すると「緑(Green)のごまかし(Washing)」という意味です。

現代においてグリーンウォッシュが深刻化している背景には、消費者、投資家、規制当局の意識変化があります。

特に、気候変動への危機意識から「エシカル消費」が加速し、企業は環境配慮をアピールしますが、実態のない安易な表現が増加しました。環境省によると、欧州委員会の2020年調査では、EU域内の環境主張の53.3%が曖昧、または根拠がない情報を提供していると判明しており、問題の深刻さを示しています。

また、投資家はESG投資の主流化に伴い企業の真の気候変動対策を重視するため、表面的な環境アピールは企業価値を損ないます。こうした状況を受け、各国政府や規制当局は、公正な競争環境を確保するため、グリーンウォッシュの取り締まりを強化しています。

グリーンウォッシュの7つの罪

国際的な第三者機関などが分類した「グリーンウォッシュの7つの罪(Sins of Greenwashing)」は、企業が陥りやすい誤った環境主張の典型的なパターンを示しています。この分類は、企業が意図せずグリーンウォッシュを行ってしまうことを防ぐための有効なチェックリストとなります。

罪の類型具体的な内容
1隠れたトレードオフの罪良い面のみ強調し、製造工程などにある大きな環境負荷を意図的に隠すこと
2証明しないことの罪「環境に良い」と主張しながら、その裏付けとなる客観的な証拠やデータを提示しないこと
3あいまいさの罪定義や範囲が曖昧な表現を使用し、消費者に誤解を与えること
4偽りのラベル崇拝の罪実際は認証を受けていない、または機能していない偽りのラベルや認証マークを使用すること
5捏造する罪環境主張の根拠となる情報やデータを虚偽や捏造する行為
6的外れの罪主張内容が環境に配慮した製品を求める消費者にとって、意味を持たないこと
7まだましの罪より悪いものと比較し、製品カテゴリー全体の環境負荷の大きさから注意を逸らすこと

グリーンウォッシュが社会と企業にもたらす深刻な問題点

グリーンウォッシュは、企業のイメージダウンだけに留まらず、社会的な問題を引き起こす深刻な行為です。詳しくみてみましょう。

環境改善が停滞してしまう

本来、グリーンウォッシュは実態を伴わない宣伝であるため、その活動自体が環境の改善にはつながっていません。むしろ、見せかけだけの取り組みが市場に広がることで、真に環境へ貢献している企業への評価が埋もれてしまいます。

結果として、消費者の間で「どうせどの企業もやっていることは大差ない」という懐疑心(エコ・ファティーグ)が広がり、真剣にコストをかけて環境改善に取り組む企業の活動が正当に評価されなくなってしまいます。これにより、市場全体での環境改善に向けたイノベーションや取り組みが停滞する原因となります。

企業のイメージを損なう

一度グリーンウォッシュであると指摘された場合、企業が負うブランドイメージの毀損は計り知れません。SNSやメディアを通じて情報が瞬時に拡散される現代において、消費者からの信頼損失による不買運動、取引先との契約停止、従業員のモチベーション低下といった連鎖的な悪影響が発生します。一度失った信頼を回復することは容易ではありません

投資家に誤った情報提供をしてしまう

ESG投資の観点から、投資家は企業の環境への取り組みを重視しています。グリーンウォッシュは、投資家に対して企業の環境パフォーマンスについて誤った情報を提供することになります。これにより、投資家からの評価が下がり、株式の売却(失望売り)や株価の下落につながる可能性があります。

消費者が無意識のうちに環境破壊に関与してしまう

環境保全に貢献したいという善意から、グリーンウォッシュ商品を選択してしまった消費者は、結果的に環境に負荷をかける活動に意図せず加担してしまうことになります。これは、消費者の倫理観を裏切るだけでなく、社会全体のエシカル消費の機運を削ぐことにつながります。

【事例紹介】環境省・経済産業省が公表した企業の例

日本においても、環境省や経済産業省が公表する資料の中で、海外の規制当局やNGOが指摘したグリーンウォッシュの事例が紹介されています。これらは、企業がグリーンウォッシュを避ける上で具体的な教訓となります。

1.レーヨン繊維製品を竹製品と偽って販売(隠れたトレードオフの罪)

ある小売企業は、レーヨン繊維製品を「竹を原料とした繊維製品」として販売しました。竹の織物が環境に優しいプロセスを使用して作られたと宣伝していましたが、実際には竹のセルロースを分解し、レーヨンに変換する際に有毒な化学物質の使用が必要でした。このため、米国連邦取引委員会(FTC)から欺瞞的な環境主張を行ったとして告発されました。

2.不法伐採された木材で作られたブナ材の椅子を販売(偽りのラベル崇拝の罪)

別のある小売企業は、ブナ材の椅子が「世界有数のグリーンラベルシステムであるFSC認証を取得している」とうたっていました。しかし調査の結果、絶滅危惧種の生息地である森林で不法伐採された木材で作られた製品を販売していたことが判明しました。ラベルに偽りがあるだけでなく、生態系の破壊に加担したことになります。

3.誤解を招く表現でスニーカーを販売(あいまいさの罪)

スポーツアパレル企業は、次世代スニーカーに「50%リサイクル」というキャッチコピーと「EndPlasticWaste」というロゴを付けて販売しました。しかし、実際には当該製品のアッパー素材の50%にのみリサイクル素材が使用されていたにもかかわらず、消費者にスニーカー全体の50%がリサイクル素材でできていると誤解させる表現であったため、問題視されました。

ロゴについても、将来の実現に向けた取り組みであるにもかかわらず、現状でプラスチック廃棄物をなくしていると誤認させる可能性があると指摘されました。

4.スコアカードに虚偽のデータを使用しドレスを製造(証明しないことの罪)

ある衣料企業は、環境スコアカードに「虚偽で誤解を招く」数字を使用したとして集団訴訟を起こされました。

この企業は、繊維・履物に関する環境負荷測定ツールのデータに基づくと「20%多い水が利用されている」と記載すべき箇所に、「20%少ない水が利用されている」と逆の虚偽の記載を行い、環境上の優位性をうたっていました

さらに600点以上の製品でデータの誤りが判明し、企業はサステナビリティ・プロファイルを削除に追い込まれました。

グリーンウォッシュを取り締まる国内外の規制動向

グリーンウォッシュの問題が深刻化するにつれ、各国・地域では法規制による取り締まりが強化されています。

日本|景品表示法(景表法)

景品表示法(景表法:不当景品類及び不当表示防止法)は、グリーンウォッシュを取り締まる主要な法律です。景表法は、商品・サービスの内容や品質を偽って表示する行為を厳しく規制し、消費者が合理的に商品を選べる環境を保護することを目的としています。

グリーンウォッシュは、この法律が禁止する「優良誤認表示」に該当する可能性が高いです。

■景表法が規制する主な不当表示

  • 優良誤認表示:品質や規格などが実際よりも著しく優良であると誤認させる表示
  • 有利誤認表示:価格や取引条件が実際よりも著しく有利であると誤認させる表示

優良誤認表示と不実証広告規制

環境配慮に関する表示であっても、誇大な表現や、一部の良い点のみを強調する表現は、この規制の対象となる可能性があります。

また、不実証広告規制により、消費者庁は優良誤認表示に該当するかを判断するため、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を事業者に求めることができます。提出された資料が合理的でない場合、その表示は不当表示と見なされます。環境省のガイドラインでも、「地球にやさしい」などの曖昧な表現は避け、ライフサイクル全体で検証するよう指摘されています。

措置命令事例の紹介:環境配慮表示に関する事例

消費者庁は、環境表示に関する優良誤認表示に対し、実際に措置命令を行っていま 。ある事例では、企業が販売する容器を「100%生分解性」「環境に優しい」と認証マークとともに宣伝していました 。しかし、実際にはその容器は特定の条件下でなければ生分解せず、通常の環境下では分解されないことが判明しました 。

消費者庁は、この表示が事実に反し、著しく優良であると誤認させる優良誤認表示に該当するとして措置命令を行いました 。この事例は、曖昧な表現や認証マークの誤用もグリーンウォッシュと見なされ、景表法による罰則の対象となることを示しています 。

EU|グリーン・クレーム指令案

EUは、世界で最も厳しいグリーンウォッシュ対策を推進しています。2023年3月に公表された「グリーン・クレーム指令案」は、企業が環境主張(グリーンクレーム)を行う際の厳格なルールを定めていま

この指令案では、企業に対し、環境主張を行う際に以下の点が求められます。。

  • 科学的根拠に基づく立証:主張内容が科学的根拠に基づいていること
  • 第三者機関による検証:環境主張を第三者機関による検証を受けること
  • 情報開示:QRコードなどを利用し、消費者に対して検証結果や主張の裏付けとなる情報を開示すること

また、ネガティブな影響の評価として、主張内容とは別の環境への悪影響(負のトレードオフ関係)がないかを特定し評価することが求められます

さらに、欧州議会は、カーボン・オフセット制度のみに基づいた「カーボンまたは気候ニュートラル」などの環境主張を禁止する方針を示しており、単に排出権を購入するだけで「カーボンニュートラル」をうたう行為を厳しく取り締まる姿勢を見せています。

企業が取り組みたいグリーンウォッシュ対策

企業がグリーンウォッシュのリスクを回避し、持続可能で信頼性の高い環境活動を推進するためには、戦略的な対策が必要です。

曖昧な表現を避け、透明性の高い情報開示をする

「地球に優しい」「エコ」「サステナブル」といった曖昧で抽象的な表現は避け、具体的な数値や事実に基づいて、環境への貢献度を明確に伝えることが重要です。

■情報開示のポイント

  • 具体的な効果の開示:「CO2排出量を〇〇%削減した」「水使用量を〇〇%削減した」など、具体的な数値を提示します。
  • 根拠資料の提示:表示の裏付けとなる科学的なデータや第三者機関の検証結果を、消費者が容易に確認できる方法で開示します(Webサイト、QRコードなど)。
  • ライフサイクル全体での評価:製品の原材料調達から製造、輸送、使用、廃棄に至るまでのライフサイクル全体(LCA)を通じて、環境への影響を評価し、開示します。特に、環境面でのマイナス要因(トレードオフ)についても隠さずに開示する姿勢が、信頼の獲得につながります。

グリーンウォッシュに関する社内ガイドラインを策定する

グリーンウォッシュを避けるには、全従業員が定義とリスクを理解し、適切な表示ルールを順守するための社内ガイドラインを策定・周知徹底することが不可欠です。特に、マーケティング、広報、製品開発などの部門間で連携し、表示の根拠となるデータの正確性をチェックする体制を構築する必要があります。景品表示法の不実証広告規制に対応できるよう、合理的な根拠資料を速やかに提出できる準備こそが、リスクマネジメントの基本です。

国際認証「SBT」を取得する

グリーンウォッシュを完全に回避し、国内外のステークホルダーから高い信頼を得るための最も有効な対策の一つが、国際的な環境認証の取得です。中でも、「SBT( Science Based Targets )」認証は、企業がパリ協定が求める水準と整合し、科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標を設定するための国際イニシアティブであり、信頼性の高い環境活動を推進する上で特に重要となります。

SBT認証は、その厳格なプロセスと第三者機関による審査として、企業が「見せかけだけ」ではない、確かな取り組みをしている証明となります。

SBT認証を取得することで、以下のメリットを得られます。

  • 投資家からの信頼獲得:ESG投資を重視する国内外の投資家に対し、長期的な気候変動対策へのコミットメントを明確に示せます。
  • 法規制への対応: 将来的なEUのグリーン・クレーム指令案のような厳しい規制にも、科学的根拠に基づいた目標とデータ開示の体制を構築することで、先んじて対応できるようになります。
  • ブランド価値向上:真摯な姿勢を消費者に伝え、競合他社との差別化を図り、企業ブランドの価値向上につながります。

SBT認定には、中小企業を対象とした中小企業版SBTもあります。申請方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

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グリーンウォッシュを正しく理解し、環境保全につながる企業活動を進めよう

グリーンウォッシュは、一見巧みなマーケティング戦略に見えますが、その実態は企業と社会全体にとって計り知れないリスクをもたらす行為です。

環境意識の高まりは、企業にサステナビリティへの取り組みをチャンスとして捉える機会を与えましたが、これには表面的な言葉ではなく、実態を伴った透明性の高い行動が求められます。

日本の景品表示法やEUのグリーン・クレーム指令案の動向を見ても、今後は曖昧な「エコ主張」は通用しなくなるでしょう。企業は、グリーンウォッシュの7つの罪をチェックリストとして活用し、自社の表示が誤解を招くものでないかを常に検証する必要があります。

真の環境リーダーとして信頼を確立するため、ぜひこの機会にSBT認証の取得を検討し、科学的根拠に基づいた長期的な削減目標を掲げることで、環境保全と持続的な企業成長を両立させていきましょう。

HELLO!GREEN

執筆:HELLO!GREEN編集部

HELLO!GREENでは、これから脱炭素経営に取り組む中小企業の皆さまに向けて、有益な情報を発信しています。環境省認定制度「脱炭素アドバイザー アドバンスト」にも認定されている 「炭素会計アドバイザー」資格を持つ専門スタッフの知見を活かし、わかりやすく信頼できる記事づくりに努めています。

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