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エネルギーマネジメントとは?概要・メリット・進め方をわかりやすく解説

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中小企業にとって不可欠な「エネルギーマネジメント」について紹介。電気代高騰や脱炭素経営への対応に、「コストが増えるのでは?」と不安を感じていませんか?しかし、気候変動への対応はもはや大企業だけの問題ではなく、企業価値と存続に直結する戦略的な投資へと変化しています。サプライチェーン全体での排出削減が求められる今こそ、エネルギーマネジメントが重要です。本記事では、エネルギーマネジメントの基本から具体的な光熱費削減ステップ、そして取引先からの信頼獲得につながる中小企業版SBT取得への道筋までを分かりやすく解説します。脱炭素経営を本格的に推進し、企業価値を向上させるための道筋を、ぜひご一読ください。

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記事の要点
  • エネルギーマネジメントは、光熱費削減だけでなく、GHG排出量の「見える化」による脱炭素経営の基盤となる
  • BEMS/FEMS導入でエネルギーコストを削減し、大企業のサプライチェーンにおける脱炭素要請に対応できる
  • エネルギーマネジメントシステム(EMS)で得たデータは、中小企業版SBT取得に活用でき、企業の信頼性向上と競争力強化につながる
目次

エネルギーマネジメント(エネルギーマネジメントシステム/EMS)とは?

エネルギーマネジメントとは、企業や施設で使用するエネルギーを「見える化」し、最も効率的になるように最適に「制御」することで、ムダな消費をなくし、電力や燃料の利用効率を向上させる取り組みのことです。

この取り組みをシステム的に実現するのが、EMS(Energy Management System/エネルギーマネジメントシステム)です。EMSは、電力やガスの使用状況に関するデータをリアルタイムで収集・分析。そのデータに基づき、空調や照明、生産設備などの稼働を自動でコントロールしたり、省エネのための改善を提案したりします。

これにより、企業は「まずは自社のエネルギーのムダ遣いを見つけ、光熱費を削減する」という直接的なメリットを得ることができます。エネルギーマネジメントは、企業の持続的な成長を実現するための重要な経営戦略です。

なぜ今、中小企業にも必要なのか?~注目される背景~

エネルギーマネジメントが今、特に中小企業にとって重要性が増している背景には、以下の3つの大きな要因があります。

1. エネルギー価格高騰と電力逼迫リスク

近年、国際情勢の不安定化や燃料価格の上昇により、電気やガスのエネルギー価格が高騰し続けています。これは、企業の光熱費を押し上げ、経営を圧迫する主要なリスクです。また、大規模発電所の供給不安や異常気象などにより、電力の逼迫リスクも無視できません。

EMSを導入し、電力使用を「見える化」して自動制御することは、電力の最大需要(デマンド)を抑える「ピークカット」を可能にします。これにより、電気料金の基本料金が削減できるだけでなく、社会的な電力安定供給への貢献、すなわち事業継続性(BCP)の強化にもつながります。

2.GHG排出量の削減義務化の動き

政府は2050年カーボンニュートラル実現に向け、GX(グリーントランスフォーメーション)推進法などにより、脱炭素への取り組みを強化しています。これにより、年間排出量が一定量を超える大企業に対しては、排出量取引制度への参加が義務化されつつあります。

中小企業が直接的な義務化の対象とならないケースが多いものの、サプライチェーン全体での排出量削減が求められるため、取引先の大企業から排出量削減に向けた協力要請が高まっています。これは、将来的な政策導入に伴うコスト増のリスクを事前に管理することにもつながります。

3. 脱炭素の取組みが「取引条件」にも影響する時代

大手企業はSBT(科学的根拠に基づく目標)やTCFD(気候関連財務情報開示)への対応を標準化し、サプライヤーである中小企業にもGHG排出量削減の協力を求める動きが加速しています。

エネルギーマネジメントによる正確なエネルギー使用量の把握は、これらの取引先からの要請に応えるための第一歩となります。もはやエネルギー管理は、単なる「コスト削減」ではなく、「脱炭素時代における経営リスク管理」であり、取引継続の条件となっているのです。

エネルギーマネジメントの主な種類

EMSは、管理対象とする施設によってさらに細かく分類されます。企業として特に注目したいのは、BEMSFEMSの2種類です。

BEMS/ビル・商業施設向け

BEMS(Building Energy Management System/ビル・エネルギー・マネジメント・システム)は、オフィスビルや商業施設、学校、病院など、建物におけるエネルギー使用を管理・制御するシステムです。

主な機能は、空調や照明などの消費データを収集・分析し、快適性を保ちながらデマンド制御(ピークカット)やスケジュール運転を行い、電力のムダを排除することです。これにより、電気料金削減という直接的なリターンを生み出します。

FEMS/工場・事業場向け

FEMS(Factory Energy Management System/工場・事業場向けエネルギーマネジメントシステム)は、製造工場や大規模な事業場に特化し、生産活動と連携してエネルギーを管理・制御するシステムです。

FEMSは、複雑な生産ラインや産業機械ごとの稼働状況とエネルギー使用量を分析し、生産効率を落とさずに省エネルギーを実現します。例えば、生産計画と連携した最適な設備稼働スケジュールの策定や、ムダな待機電力の発見・排除などが可能です。FEMSは、製造業における脱炭素経営の核となります。

エネルギーマネジメントがもたらす4つの具体的なメリット

エネルギーマネジメントは、企業の経営に直結する重要なメリットをもたらします。

1.エネルギーの「見える化」を実現できる

最も基本的なメリットは、エネルギーの使用状況が「いつ」「どこで」「どれくらい」使われているかをデータとして明確に把握できることです。

これまで電気代の請求書でしか見えなかったエネルギー消費が、時間帯別、設備別、フロア別など、細かくグラフや数値で表示されます。この「見える化」が、コスト削減の具体的なアクションプランを生み出す土台となり、同時にGHG排出量を算定する信頼性の高い基盤となります。

2.エネルギーコストが削減できる

見える化されたデータに基づき、EMSが空調や照明を自動制御したり、デマンド制御を行ったりすることで、電力使用量の削減と電気料金の削減につながります。

エネルギー効率の良い設備への更新も合わせて行うことで、ランニングコストの確実な削減につながります。特に電気料金が高騰する昨今、光熱費の削減は、企業の利益率向上に直結し、競争力強化につながります。

3.大企業からの要求に対応できる

エネルギーマネジメントで得られた「エネルギー使用量」とそれに基づく「GHG排出量」のデータは、取引先の大企業が今最も知りたい情報のひとつです。

大手企業がSBTなどの国際的な取り組みに対応するためには、サプライヤーである中小企業のGHG排出量の把握が不可欠です。信頼性の高いデータを提供できることは、取引の継続や新規取引の獲得において、大きなアドバンテージとなります。脱炭素経営への積極的な姿勢は、企業の社会的評価(ESG評価)を高め、ブランドイメージの向上にもつながります。

4.事業継続性(BCP)の強化につながる

EMSは、電力の需給バランスを調整し、電力逼迫時のリスクを低減する役割も果たします。

特に、太陽光発電や蓄電池と連携することで、災害などで外部からの電力供給が途絶えた際にも、自家発電や蓄電した電力で事業を継続するための重要なインフラとなります。これは、BCP(事業継続計画)の観点からも、企業のレジリエンスを強化するための重要なメリットです。

エネルギーマネジメントの進め方

エネルギーマネジメントの導入は、以下のステップで進めるのが一般的です。

ステップ1.現状を把握する(見える化)

まず、自社が「いつ」「どこで」「どれくらいのエネルギー」を使っているのかを把握します。

具体的なアクション

  • 電気やガスの請求書、検針データなどを集め、過去の使用量傾向を把握する
  • 計測機器(スマートメーター、センサーなど)を設置し、リアルタイムの使用状況を「見える化」するためのデータ収集を行う
  • 特に使用量が多い「ムダの多い設備や時間帯」を特定する

このステップで得られたデータは、光熱費削減のための具体的なアクションプランの基盤となり、同時にGHG排出量の算定にも役立ちます。

ステップ2.改善策を立案する

現状の把握で特定されたムダに基づき、具体的な改善策を立てます。

■具体的なアクション

  • 運用改善: 空調の設定温度の見直し、長時間使用しない機器の電源オフの徹底、不要な照明の間引きなど、すぐにできる対策から始める
  • 設備改善: 高効率なLED照明や省エネ型エアコン、高性能な変圧器など、エネルギー効率の良い設備への更新計画を立てる
  • デマンド制御: ピーク時を避けた設備の運転スケジュール調整を行う

この段階でエネルギーコスト削減効果の試算を行い、投資対効果を明確にすることが重要です。

ステップ3.対策を実行する

立案した計画に基づき、以下の対策を実行します。

■具体的なアクション

  • EMS(エネルギーマネジメントシステム)を導入し、自社の規模や課題に最適な対策を効果的に実行する
  • 省エネ補助金や税制優遇措置を積極的に活用し、初期投資を抑える
  • 省エネ補助金や税制優遇措置を積極的に活用し、初期投資を抑える

現場の従業員へ運用ルールを周知し、全社的な取り組みとして浸透させる

対策の実行には現場の協力が不可欠なため、取り組みの意義を共有し、一丸となって進めることが成功の鍵となります。

ステップ4.効果の検証+継続的な改善で、脱炭素経営を展開する

システム導入をした場合は、データの継続的な分析と改善が重要です。

■具体的なアクション

  • 導入後の削減効果を測定し、目標との比較・検証を行うPDCAサイクルを回す
  • 蓄積されたデータを活用し、自社のGHG排出量を正確に管理する 
  • 削減実績を対外的にアピールし、SBT認定取得などの脱炭素経営へ展開させる

継続的な改善で得られた信頼性の高いデータは、企業の社会的評価を高める強力な武器となります。

【注目】中小企業版SBTの取得で、次なるステージへ

エネルギーマネジメントによる「見える化」と「削減」で、コスト削減という短期的な成果を得たなら、脱炭素経営という「次なるステージ」へ進むことをおすすめします。その具体策の一つが中小企業版SBTの取得です。

SBT(Science Based Targets)は、パリ協定が掲げる「1.5℃目標」の達成に向け、科学的な根拠に基づき設定された、企業のGHG排出削減目標のことです。

なぜ中小企業版SBTなのか?
中小企業版SBTは、通常版に比べて目標設定のハードルが低く設定されており、従業員数や売り上げ高などの要件を満たせば取得が可能です。
エネルギーマネジメントのデータがSBT取得に役立つSBTの認定を受けるためには、まず自社のGHG排出量(Scope1Scope2)を算定し、提出する必要があります。まさに、EMSによって「見える化」した、信頼性の高いエネルギー使用量のデータが、このGHG排出量算定の基盤となります。

中小企業版SBTを取得することで、国際的な基準を満たした企業として、環境意識の高い取引先や金融機関からの評価が格段に向上し、市場競争力の強化、新たなビジネスチャンスの獲得にもつながります。

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エネルギーマネジメントは、高騰する光熱費の削減という「守り」の経営に役立つだけでなく、大企業からの要請への対応や中小企業版SBTの取得といった「攻め」の経営を可能にする、現代の中小企業にとって不可欠な取り組みです。
まずは自社のエネルギーの「ムダ」を見つけ、コスト削減につなげることから始めてみましょう。その一歩が、貴社の企業価値を高め、持続可能な脱炭素経営への確かな道筋となります。自社のエネルギー使用状況に関する具体的な課題やEMSについて、一度深く検討してみてはいかがでしょうか。

HELLO!GREEN

執筆:HELLO!GREEN編集部

HELLO!GREENでは、これから脱炭素経営に取り組む中小企業の皆さまに向けて、有益な情報を発信しています。環境省認定制度「脱炭素アドバイザー アドバンスト」にも認定されている 「炭素会計アドバイザー」資格を持つ専門スタッフの知見を活かし、わかりやすく信頼できる記事づくりに努めています。

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