サプライチェーン全体で進む脱炭素化。中小企業が選ばれ続けるために必要なこと

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近年、企業の脱炭素化は、自社の事業活動だけではなく、原材料の調達から製品の使用・廃棄まで、サプライチェーン全体に広がっています。こうした流れは、大手企業やグローバル企業を中心に進んできましたが、今や中小企業にとっても重要な課題です。
この記事では、サプライチェーンの脱炭素が注目されている理由、排出量の定義、中小企業の役割、対応するメリットなどを解説します。削減目標を効果的に公表する方法も紹介しますので、信頼されるサプライヤーとなるヒントにしてみてください。
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- サプライチェーン全体の脱炭素が求められるのは、企業の社会的責任だけでなく、パリ協定やESG投資などで、重要性が増しているためです
- 中小企業はサプライチェーンの上流と下流の中継点として、重要な役割を担います
- 中小企業も削減目標を示して社外から信頼を得ることが大切です
なぜ今「サプライチェーンの脱炭素」が求められているのか?
近年、企業の社会的責任として、気候変動への対策がますます重要視されています。背景にあるのは、国際的な合意であるパリ協定や、投資家が企業を評価する際のESG(環境・社会・ガバナンス)投資の重要性が増していることです。
こうした動きの中で、大手企業は、自社が直接排出する温室効果ガス(GHG)だけでなく、原材料の調達から製品・サービスが最終的に使われるまでの全てのプロセス、つまり「サプライチェーン全体」での排出量について算定・公開するようになってきています。そのため、サプライチェーンに属する中小企業も排出する責任を負い、脱炭素への対応が求められるのです。
サプライチェーンの脱炭素要請の事例
大手企業が関連企業に脱炭素を要請している例を見てみましょう。
| 企業名 | 要請内容 |
|---|---|
| トヨタ自動車 | 数百社の仕入先に対し、2021年のCO2削減目標として前年比3%削減 |
| イオン | モール館内の警備・清掃などに関わる従業員、モール運営に携わるサプライヤー、出店しているすべての専門店に対して、環境教育を実施するとともに、排出削減につながる行動も |
このように、大手企業による脱炭素の要請は年々厳格化しており、今や適切な対応ができなければサプライチェーンから除外されるリスクが考えられます。
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サプライチェーン排出量の定義
サプライチェーン排出量は、環境省・経済産業省が策定したガイドラインに基づいて、大きく3つに分けられます。

| 区分 | 排出源 |
|---|---|
| Scope1 | 自社での燃料使用による直接排出(例:暖房設備の灯油、社用車のガソリンなど) |
| Scope2 | 他社から供給された電気・熱の使用による間接排出(例:オフィスや工場の電気など) |
| Scope3 | 原材料の調達や製品の輸送など、自社の活動に関連する他社の排出。15のカテゴリに分類(例:原材料の調達、物流、通勤や出張、廃棄など) |
Scope3は排出量全体の大部分を占めることも多く、全体の排出量を削減するには、Scope3に関わるサプライヤーの協力が不可欠です。
サプライチェーンの脱炭素化で中小企業が果たすべき役割
中小企業は、大手企業から脱炭素対応を求められるサプライヤーであると同時に、自社の協力会社や取引先と連携して、サプライチェーン全体の脱炭素の輪を広げていく立場でもあります。
例えば、部品製造を行う中小規模のメーカーは、原材料を仕入れるサプライヤー(上流)と、自社で製造した部品を供給する完成品メーカー(下流)の両方と関係があります。いわば「脱炭素対応の中継点」で、サプライチェーン排出量削減の成否を左右する、重要な存在です。
取引先から求められる脱炭素対応
大手企業にとって、原材料や配送を担う中小企業は、サプライチェーンの上流(または下流)工程に位置しています。

サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量を管理するためには、Scope3の排出源である中小企業の排出量を把握・削減する必要があるため、取引先に排出量の報告や削減を求めるのです。
協力会社や取引先と進める脱炭素の取り組み
サプライヤーは、「一次サプライヤー」「二次サプライヤー」といった多層構造になっています。例えば自動車業界の場合、完成車メーカーと直接やり取りをしながらブレーキシステムや電子部品などを納入する企業が、一次サプライヤーです。二次サプライヤーは、一次サプライヤーに部品や原材料を提供する企業で、製品(完成車)の納期や品質に影響を与えます。
このような関係の中で、大手企業から脱炭素対応を求められた企業(一次サプライヤー)は、さらに上流または下流のサプライヤーに脱炭素への協力を呼びかける立場にもなります。サプライチェーン全体の排出削減は、一企業だけで取り組むものではなく、関係する企業が協力して進めることが大切です。
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中小企業が脱炭素に取り組むことのメリット
サプライチェーンにおける脱炭素への取り組みは、中小企業にとって単なる義務ではありません。今や脱炭素は負担ではなく、企業価値を向上させ、ビジネスチャンスへつなげるための戦略となっているのが実情です。
「取引先として選ばれる」ための競争力強化につながる
大手企業がサプライチェーン排出量削減を進める中で、サプライヤー選定の基準に「脱炭素への取り組み」が加わることは、すでに一般的になっています。このような時代において、中小企業が先手を打って脱炭素に対応することは、競合他社に差をつけ、大手企業からの新規受注や既存取引の継続において有利になる可能性が高まります。
また、「環境対応できる企業」として知られることで、海外企業のような新たな市場の開拓にもつながる効果も期待できます。
長期的なコスト削減につながる
脱炭素への取り組みは、初期投資が必要な場合もありますが、長期的にはコスト削減につながります。例えば、太陽光発電システムの設置により、温室効果ガス排出量を削減するとともに電気代や燃料代の削減が見込まれ、初期投資を数年で回収できることもあります。
また、競争入札や補助金申請で加点されれば、受注機会が増え、結果的に売上アップに寄与します。
今からできる脱炭素対応3つのステップ
中小企業が脱炭素化を始めるにあたって、何から手をつければよいのか悩むかもしれません。しかし、適切なステップを踏むことで、効率的に脱炭素を進めることが可能です。ここでは、脱炭素対応の基本ステップを紹介します。

1.自社の排出量を把握する
自社のどこから、どのくらいの温室効果ガスを排出しているのかを把握することが、脱炭素化の第一歩です。特に排出量が多い場所を特定することで、削減目標や対策を検討しやすくなります。
具体的には、オフィスや工場などで使用する燃料(ガス、重油など)の消費量、購入した電力の消費量などを洗い出し、Scope1とScope2を算出します。このステップが、今後の取り組みを考える土台となります。
2.排出量の多い場所を特定する
排出量を把握したら、温室効果ガスが「どこで、どれだけ多く発生しているか」という主な排出源を特定しましょう。企業の種類や事業内容によって排出が多い場所は異なり、削減する余地の大きいポイントを見極めることが重要です。
主な排出源を特定することで、削減に取り組むべき場所や活動が見えてきます。また、取引先が掲げる脱炭素目標やサプライヤーに対する具体的な要求を把握することも、今後の削減目標の設定において大切です。
3.削減目標を信頼に変える
排出量を把握し、自社がサプライチェーンの中でどのような位置にあるかを明確にした上で、具体的な削減目標を設定します。ここで重要なのは、単に目標を設定することではなく、実現可能な目標を社外に示して取引先や関係企業の信頼を得ることです。
目標を社外に示す効果的な方法として「SBT(Science Based Targets)」があります。SBTは、科学的根拠に基づいて削減目標を設定し、その目標を第3者機関が認定する国際的な制度です。信頼度が高く、サプライヤーにSBT認証を求める大手企業もあります。
要件を満たせば取得が目指せる「中小企業版SBT」もありますので、中小企業の担当者もチェックしてみてください。
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先行して脱炭素に対応することで「選ばれ続ける」サプライヤーになろう
サプライチェーン全体の脱炭素化は、国際的な要請や大手企業の動きにより、中小企業にとって避けて通れない経営課題となっています。排出量の多くを占めるScope3の削減には、サプライチェーン内にいる中小企業の協力が不可欠です。
脱炭素の取り組みは、大手企業からの調達条件を満たしてサプライチェーンに残るだけでなく、エネルギーコスト削減などのコスト削減にもつながります。他社に先行して脱炭素に対応することは、単なる負担ではなく、企業価値を向上して成長していくための重要な投資となるでしょう。まず自社の排出量を把握して、具体的な削減目標を社外に示し、できることから少しずつ取り組んでいきませんか。
HELLO!GREENでは、これから脱炭素経営に取り組む中小企業の皆さまに向けて、有益な情報を発信しています。環境省認定制度「脱炭素アドバイザー アドバンスト」にも認定されている 「炭素会計アドバイザー」資格を持つ専門スタッフの知見を活かし、わかりやすく信頼できる記事づくりに努めています。