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中小企業のPPA活用術。初期投資を抑えて脱炭素経営とコスト削減

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「取引先から脱炭素化を求められているが、太陽光設備の導入に数千万円もかけられない」「高騰し続ける電気代をどうにかしたい」。こうした切実な悩みを抱える中小企業の経営層・担当者にとって、初期投資の負担を抑えて再エネを導入できる「PPA」は非常に強力な選択肢です。

本記事では、PPAの仕組みから自社所有との違い、さらには国際基準である中小企業版SBT達成への具体的な活用術まで、分かりやすく解説します。

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記事の要点
  • PPA(第三者所有モデル)なら、多額の初期導入費用を一括で用意することなく太陽光発電を開始できます。
  • 運用の手間やメンテナンスをプロに任せられるため、限られた人的リソースを本業に集中させることが可能です。
  • PPAで再エネを導入することで、中小企業版SBTなどの国際的な目標達成に大きく貢献します。
目次

中小企業が注目する「PPA」とは?初期投資の負担を抑える仕組み

近年、中小企業の経営において「電気料金の高騰」と「取引先からの脱炭素要請」への対応は急務となっています。これらを解決する有効な手段が「PPA(Power Purchase Agreement)」です。

PPAとは、日本語で「電力購入契約」または「電力販売契約」と呼ばれます。需要家(企業など)が発電事業者から、再生可能エネルギー(再エネ)を直接購入する契約形態を指します。最大の特徴は、設備の所有権を需要家ではなくPPA事業者が持つ「第三者所有モデル」である点です。

■PPAモデルのスキーム図

PPAモデルのスキーム図
出典:環境省『再エネ スタート 再生可能エネルギー導入方法 PPAモデル

代表的な再エネ電源である太陽光発電システムを導入(自己所有モデル)する場合を考えてみましょう。通常、小規模な設備でも数百万円、工場の屋根全体などの大規模なケースでは数万円から数億円単位の「初期費用」が発生します。

これに対しPPAモデルでは、PPA事業者が太陽光発電設備を設置・所有し、そこで発電された電気を需要家が使用する仕組みをとります。設備の導入に関わるコストや維持管理費は、毎月の「サービス料金(電気使用量に応じた支払い)」として回収されるため、導入企業は多額の初期費用を一度に準備することなく、再エネ発電をスタートできるのが大きな利点です。

自社に合うのはどちら?オンサイトPPAとオフサイトPPAの違い

企業がPPAで再エネを調達する場合、主に「オンサイトPPA」と「オフサイトPPA」の2つの選択肢があります。これらは総称してコーポレートPPAと呼ばれています。

オンサイトPPAは、需要家の施設の屋根や屋上などに再エネ発電設備を設置する形式です。日本では現在「太陽光発電オンサイトサービス」が広く普及しています。一般の電力系統(電線)を通さずに直接電気を使うため、電気料金に含まれる「再エネ賦課金」や「託送料金(送電網の利用料)」がかからず、直接的な電力コストの低減効果が高いのが特徴です。また、停電時の非常用電源として活用できるため、BCP対策(事業継続計画)としても有効です。

一方で「屋根が狭い」「賃貸物件で設置が難しい」といった悩みを抱える需要家には、オフサイトPPAが適していま。これは、遠隔地の土地などに設置した発電設備から、一般の送電網を介して電気を送る仕組みです。敷地面積の制約を受けず、複数の拠点にまとめて再エネを供給できるメリットがあります。

自社の施設状況や調達したい電力量に合わせて、最適な手法を選択しましょう。

下記記事では太陽光発電の契約方式やメリット・デメリットなどについて紹介しています。ぜひご覧ください。

中小企業にPPAが選ばれる3つの理由

なぜ今、多くの中小企業が自己所有ではなくPPAを選ぶのでしょうか。そこには、限られたリソースを有効活用しながら、経営基盤を強化するための合理的な理由があります。

1.本業のキャッシュを確保しつつ脱炭素経営に着手できる

中小企業にとって、数千万単位のキャッシュを本業以外の設備投資に固定させるのは大きな経営リスクです。自社所有で自家消費型太陽光発電を導入すれば、その分、新商品の開発や市場開拓、優秀な人材の獲得といった「本業への成長資金」が制限されてしまう可能性があります。

PPAであれば、多額の初期導入費用をPPA事業者が立て替える形になるため、本業のキャッシュフローを厚く保ったまま環境対策に着手できます。経営の柔軟性を維持しながら脱炭素化を進められる点は、変化の激しい現代において大きなメリットと言えるでしょう。

2.運用はプロに委託。限られた人的リソースは本業に集中できる

太陽光発電設備は、設置して終わりではありません。定期的な点検やメンテナンス、故障時の修理対応、さらには固定資産税の納税事務など、運用には専門的な知識と手間が必要です。

PPA契約では、これらの維持管理の実務を原則としてPPA事業者が担います。専門の技術者を自社で雇う必要がなく、現場の社員に新たな負担をかけることもありません。リソースが限られている中小企業にとって、運用の手間をプロに任せられるPPAは、非常に合理的な「持続可能な経営」の形と言えます。

3.脱炭素における「具体的かつ有効な施策」になる

PPAの導入は、対外的な「信頼獲得」においても強力な武器になります。PPAは自社の契約によって「新しい再エネ設備を世の中に増やす」という性質を持つため、国内の再生可能エネルギー電源を拡大させる直接的なアクションとして高く評価されます。

再エネの追加性を獲得

この再エネの「追加性(Additionality)」がある取り組みは、国際的な評価基準においても非常に重視されています。例えば、使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的な枠組み「RE100」においても、追加性は再エネ調達の質を判断する重要な指標の一つです。

自社が再エネの創出に直接寄与している事実は、グローバルな基準に照らしても高く評価されるものであり、取引先の大手企業や金融機関に対して、実態を伴う誠実な経営姿勢として自信を持って提示できる実績となります。

自社の温室効果ガス排出量を削減(Scope2削減)

PPAを利用して調達した電気を自社で消費することで、電力会社から購入する化石燃料由来の電気を直接減らすことができます。これは、温室効果ガス排出量の算定基準である「Scope2(他社から供給された電気の使用に伴う間接排出)」を確実に削減する施策となります。

国際基準「SBT」の目標達成に貢献

PPAによって得られた削減実績は、科学的根拠に基づく削減目標「SBT(Science Based Targets)」を達成するための強力な後押しとなります。大手企業のサプライチェーンにおいて脱炭素化が求められる今、こうした具体的な施策を公表していることは、新規案件の獲得や既存取引の継続においても有利に働くでしょう。

【参考】中小企業版SBT

SBTには「中小企業版SBT」という、認定基準や申請プロセスが簡素化された認定ルートがあり、通常のSBTに比べて事務負担が大幅に抑えられています。

中小企業版SBTでは、ガスやガソリンの燃焼などによる直接排出「Scope1」と、電気の使用による間接排出「Scope2」について削減目標を設定します。一方で、原材料の調達や輸送、製品の使用など、自社の活動に関連する他社の排出量「Scope3」については目標設定が免除されており、まずは測定と削減へのコミット(約束)が求められる仕組みです。

PPA導入前に確認すべき3ポイント

メリットの多いPPAですが、検討時には以下のポイントを確認しておきましょう。

1.10〜20年の長期契約

PPAは長期的な運用を前提としたビジネスモデルです。契約期間中の解約には違約金が発生するケースが多いため、将来の事業計画や拠点の移転予定がないか、あらかじめ経営情報と照らし合わせて整合性を確認しておく必要があります。

2.余剰電力と終了後の設備

オンサイトPPA(敷地内設置)の場合、発電した電気が余ってもそれを外へ売って収益化することは原則できません。年間の発電量と自社の消費パターンのバランスを考慮した、最適な容量選びが重要です。

また、契約満了後に設備が譲渡される場合は、その後のメンテナンスや将来的な廃棄費用が自社負担になる点も考慮しておきましょう。

3.託送料金と削減効果

オフサイトPPA(敷地外設置)では、発電した電気を一般の送電網を介して運ぶため、小売電気事業者への「託送料金」などのコストが発生します。敷地内に直接引き込むオンサイトPPAに比べると、電気代の削減幅が小さくなる傾向があるため、コスト面でのシミュレーションを丁寧に行うことが大切です。

PPA導入に使える補助金と優遇税制

中小企業のPPA導入を支援するために、国や自治体による制度も用意されています。

ストレージパリティの確保に向けた補助金」は、太陽光発電と蓄電池をセットで導入する際、導入費用の一部が補助される制度です。蓄電池を併用することで、夜間や天候不良時でも再エネを効率的に活用でき、BCP体制の強化にもつながります。

また、親和性の高い補助金として、主にPPA事業者が申請を行うものですが、交付された補助額分が「PPA単価(サービス料金)」の引き下げとして需要家に還元される仕組みなどもあります。

下記の記事では、脱炭素経営に使用できる補助金を紹介していますので、ぜひご覧ください。

中小企業こそPPA導入で脱炭素経営を力強く進めよう

「再エネ導入には多額の設備予算が欠かせない」というこれまでの常識は、PPAの登場によって変わりつつあります。多額の導入資金を一括で用意することなく再エネ発電を導入できるこの仕組みは、電気代の安定化と脱炭素化を同時に実現したい中小企業にとって、非常に有力な選択肢です。

特に、中小企業版SBTの認定取得を目指す企業にとって、PPAは目標達成に向けた具体的かつ説得力のある削減手段となります。脱炭素化がビジネスのスタンダードとなる今、自社の成長資金を賢く使いながら、環境に配慮したエネルギー活用へとシフトしてみませんか。

HELLO!GREEN

執筆:HELLO!GREEN編集部

HELLO!GREENでは、これから脱炭素経営に取り組む中小企業の皆さまに向けて、有益な情報を発信しています。環境省認定制度「脱炭素アドバイザー アドバンスト」にも認定されている 「炭素会計アドバイザー」資格を持つ専門スタッフの知見を活かし、わかりやすく信頼できる記事づくりに努めています。

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