【法人】産業用太陽光発電の設置費用はいくら?工事費や撤去費用、税金など

資源エネルギー庁『太陽光発電について』によると、2023年の産業用太陽光発電の設置費用は、平均14.7万円~25.1万円(1kW当たり)となっています。
今回は、産業用太陽光発電の導入を検討しており、設置費用の相場を知りたい方に向けて、産業用太陽光発電に関するコストの動向を詳しく紹介しています。設置費用やメンテナンスに関する費用、税金などについても解説していますので、導入計画の策定にお役立てください。
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- 産業用太陽光発電の設置費用は、規模によっても異なりますが、出力10kW~50kWの区分では25.1万円/kW、500kW~1000kWでは14.7万円/kWとなっています(2023年平均)。
- 産業用太陽光発電の正常運転を維持するため、定期点検や清掃のほか、パワーコンディショナーをはじめとする機器の交換に伴う費用が発生します。
- 資金対策として、補助金制度、税制優遇制度の活用のほか、初期投資のかからない契約方法(PPA、リース)も検討しましょう。
【一覧】産業用太陽光発電に必要な設備
産業用太陽光発電を始める際には、さまざまな設備が必要となります。条件によって必要な設備は異なりますが、産業用太陽光発電システムを構成する主な機器を紹介します。
■産業用太陽光発電システムを構成する主な機器
| 機器 | 役割 |
|---|---|
| 太陽電池モジュール(ソーラーパネル) | 太陽光を受けて電力を作るパネル |
| 太陽電池架台 | 太陽電池モジュールを、地面や屋根などに固定するための土台 |
| 電池アレイ | 複数の太陽電池モジュール(ソーラーパネル)をつなげて架台などに設置した集合体 |
| 接続箱 | 太陽電池モジュールから配線をまとめるための装置。安全管理のための中継地点のような役割を果たす |
| パワーコンディショナー(パワコン) | 太陽電池モジュールで発電された直流電力を、家庭や事業所などで使用できる交流電力に変換する装置 |
| 分電盤 | 家庭や建物に引き込まれた電力を、各部屋や電気機器に分配する装置 |
| 買電用受変電設備(キュービクル) | 電力会社から供給される高圧の電力を、工場や事業所などで使用できる電圧に変換する設備 |
| 買電用積算電力量計 | 電力会社から買電した電力量を計測するメーター |
| 売電用積算電力量計 | 商用電力系統への売電量を測定するメーター |
| PAS | Pole Air Switchの略称で、日本語では「(高圧)気中負荷開閉器」を意味する |
産業用太陽光発電の設置費用
産業用太陽光発電の設置費用の相場は、発電設備の出力容量のほか、地上や屋根など設置形態によっても異なります。ここでは、設置費用について詳しく紹介します。
(参考:資源エネルギー庁『太陽光発電について』)
産業用太陽光発電の設置費用は平均14.7万円~25.1万円(1kW当たり)
以下は、出力容量別に、産業用太陽光発電の設置費用の平均値を表したグラフです。

2012年から2023年までの設置費用の推移をみると、どの区分でも大きく低下しています。2023年で最も平均が低いのは、出力500kW~1000kWの区分で14.7万円/kWです。一方、最も平均が高いのは、出力10kW~50kWの区分で25.1万円/kWです。
産業用太陽光発電の設置費用の内訳
産業用太陽光発電の設置費用の内訳は、以下のようになっています。
■各費用の目安(※金額は1kW当たり)
| 設備費 | ソーラーパネル | 9.5万円 |
| パワコン | 3.0万円 | |
| 架台(パネルを固定する台) | 3.5万円 | |
| その他 | 1.6万円 | |
| 工事費 | 7.5万円 | |
| 設計費 | 0.2万円 | |
費用全体の約4割を占めるソーラーパネルの価格は、種類やメーカーによって異なります。国内メーカーのものに比べて、海外メーカーのソーラーパネルは価格が低い傾向ですが、サポート体制や保証内容については注意が必要でしょう。
工事費が割り増しになるケース
産業用太陽光発電の工事費が割り増しになるケースには、次のような事例があります。
- 屋根の補強工事が必要となるケース
- 産業用太陽光発電システムの導入によって発電量が増加し、既存のキュービクルの容量では対応しきれないケース(高圧または特別高圧の電力設備を持つ事業所など)
屋根の補強工事は、「老朽化」「強度不足」のほか「特殊な屋根の形状」などといった場合に必要です。すぐに対応する必要があるほど老朽化していない場合も、ソーラーパネルの寿命と屋根の寿命を比べながら、事前メンテナンスについて検討しておきましょう。ソーラーパネルの設置後に屋根の塗装など工事を行うと、パネルの取り外しや再設置など、費用が余分にかかるため注意が必要です。
また、高圧または特別高圧の電力設備を持つ事業所が、産業用太陽光発電システムを導入する際、買電用受変電設備(キュービクル)の新たな設置や、既存設備の改造に追加費用がかかる場合もあります。
産業用太陽光発電の維持にかかる費用
産業用太陽光発電の設置後、維持費はいくらかかるのでしょうか。産業用太陽光発電の維持費には、点検や清掃費用などが含まれ、1kWあたり約5,000円が目安とされています(設置条件により異なる)。維持費の内容をみていきましょう。
点検・清掃費用
産業用太陽光発電では、設備の安全性と発電効率を維持するための定期点検が必要となり、それに伴う費用が発生します。また、ソーラーパネルに鳥の糞が長期間付着したり、周辺に雑草が生い茂ったりすると、「ホットスポット」と呼ばれる発熱異常が発生する可能性があるため、定期的な清掃や除草も必要でしょう。
このような保守作業にかかるコストも、維持費として事前に見積もっておくことが重要です。
周辺機器の交換費用
一般的に、ソーラーパネルよりもパワコンなどの周辺機器の方が寿命は短いとされています。故障時の修理や交換に備えて、予算を確保しておきましょう。パワコンの交換時期は条件によって異なりますが、おおよそ10年~15年が目安とされています。
保険料
産業用太陽光発電の保険加入は任意ですが、災害などによる損害があった場合に備えて加入するケースが一般的です。加入を検討する場合は、事前に保険会社に保険料の見積もりを作成してもらうようにしましょう。
各保険会社では産業用太陽光発電に関する保険プランを用意しており、災害時以外にも、トラブルによる休業が発生した期間の損失を補償するものなどがあります。
撤去費用
FIT・FIP制度を利用して売電する場合は、廃棄費用の積み立てが義務化されています。そのため、産業用太陽光発電を設置する際は、撤去にかかる費用についても考えておく必要があるでしょう。積み立て基準額は、設置形態と発電容量によって異なりますが、およそ0.6円/kWh~1.12円/kWhです(2025年度認定事例の場合)。
(参考:資源エネルギー庁『廃棄等費用積立ガイドライン』)
FIT・FIP制度とは?
FIT制度(固定価格買取制度)は、一定期間、国によって設定された価格で電力を全量買い取ってもらえる仕組みです。一方、FIP制度は売電価格に市場の動向を反映させながら、プレミアム(補助額)を追加で交付する仕組みです。どちらも再エネ導入を促進するための国による施策で、産業用太陽光発電も対象となります。
固定資産税
10kW以上の産業用太陽光発電を所有する場合、自家消費、売電のいずれの目的でも「固定資産税」を支払う義務があります。ただし、特例として2026年度末までに取得した太陽光発電設備は、3年度分の固定資産税が軽減されます。軽減率は自治体が決定していますが、目安として1,000kW未満なら通常の2/3です(FIT・FIP制度の認定を受けたものは対象外)。
固定資産税のほかに、産業用太陽光発電に関連する税金には以下のようなものがあります。
| 法人 | ・法人税・法人事業税 |
| 個人事業主 | ・所得税 |
売電によって事業所得が増えると、納める税金も増える可能性があるため、注意が必要です。詳細については、税理士などに相談するとよいでしょう。
(参考:経済産業省『租税特別措置等に係る政策の事前評価書』)
産業用太陽光発電への投資の費用対効果は?
産業用太陽光発電への投資を考えている方は、費用対効果や投資の回収期間についても気になっているのではないでしょうか。
設備費用の回収期間は、電力量料金の変動や売電価格の変動、システムの発電量などによって変わります。一般的な目安として、自家消費を目的とする場合の投資回収期間は約7~12年です。これに対し、FIT制度を活用した全量売電の場合は、約10年~15年といわれています。
費用対効果を評価する際には、電気代の削減や売電による収益といったメリットに加え、「企業価値の向上」「非常用電源の確保」など、数値では表せないメリットも考慮に入れましょう。
以下の記事では、産業用太陽光発電の投資回収のシミュレーション方法を紹介しています。
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太陽光発電導入のための資金対策!企業が知っておきたいポイント
高額な設置費用を投じて、長い年月をかけて回収する産業用太陽光発電。導入によって資金繰りに困ることのないよう、補助金制度や節税対策のほか、初期投資がかからないPPAなどの契約方法についても押さえておきましょう。
産業用太陽光発電の導入時に活用できる補助金制度
産業用太陽光発電に関連する国の補助金制度として、2024年度に実施された補助事業の一つを紹介します。
| 事業 | 事業の概要 |
|---|---|
| 民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業 | ・ソーラーカーポートなど①建物における太陽光発電の新たな設置手法活用事業(補助率1/3) ・営農地やため池などを活用した、地域における太陽光発電の新たな設置場所活用事業(補助率1/2) ・窓、壁等と一体となった太陽光発電の導入加速化支援事業(補助率3/5、1/2)など |
このほか、都道府県や市区町村によっては独自の補助金制度を設けているところもあります。補助金は年度ごとに更新されるので、最新情報を確認しておきましょう。
(参考:環境省『民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業』)
税制優遇制度|産業用太陽光発電を導入する中小企業など
固定資産税の軽減措置については先述しましたが、そのほかにも太陽光発電を導入した際に、節税につながる制度を活用できる場合があります。以下は、2024年度に実施された内容です。
| 税制優遇制度 | 概要 |
|---|---|
| カーボンニュートラルに向けた投資促進税制 | 設備投資などを行った場合、最大10%の税額控除(中小企業などは最大14%)、または50%の特別償却ができる |
| 中小企業経営強化税制 | 設備投資などを行った場合、取得価額に対して10%の税額控除、または即時償却できる |
| 中小企業投資促進税制 | 設備投資などを行った場合、取得価額に対して7%の税額控除、または30%を特別償却できる |
特別償却は、通常の減価償却に一定割合を追加して費用計上でき、即時償却は 設備を取得した年度に費用を全額計上できます。これらにより節税につながるほか、キャッシュフロー改善のメリットもあります。
税制優遇制度は、事前に導入計画の提出を求められる場合もあります。導入を検討する際には、あらかじめ適用条件や手続きを確認しておきましょう。
(参考:経済産業省『カーボンニュートラルに向けた投資促進税制』)
(参考:中小企業庁『中小企業経営強化税制』『中小企業投資促進税制』)
PPA・リース|太陽光発電導入時の初期投資が不要
産業用太陽光発電の導入には、設備を自社で所有する方法以外に、「PPA」「リース」という方法もあります。
| PPA | リースリース | |
|---|---|---|
| 内容 | 第三者所有モデルとして、発電事業者に産業用太陽光発電設備を設置してもらい、一定期間、設備で発電した電力を購入する | リース会社から産業用太陽光発電設備を借り、リース料を支払いながら、設備で発電した電力を使用する |
| メリット | 発電設備の運用や管理を発電事業者に任せられるため、手間がかからない | リース料が一定のため、必要経費が予測しやすい |
| デメリット | 長期契約のもとに運用され、途中解約が難しい場合も。発電設備の所有権は発電事業者側にある | 太陽光発電設備の所有権がユーザーになく、設備の移設などが制限される場合がある(契約内容によって制約は異なる) |
PPAやリースといった契約方式は初期費用を抑えられますが、それぞれデメリットもあります。将来的なビジョンも視野に入れた上で、自社にとって最適な導入方法を検討しましょう。
(参考:環境省『はじめての再エネ活用ガイド(企業向け)』)
【参考】産業用太陽光発電を設置するまでの流れ
参考までに、産業用太陽光発電を設置し、運転を開始するまでの流れを紹介します。
■産業用太陽光発電を設置するまでの流れ
| 【ステップ1】 相談・現地調査 | 太陽光発電システム施工業者などに相談。現地調査を依頼する |
| 【ステップ2】 設置に向けた具体的な検討 | 複数の業者から見積もりを取り寄せ、初期投資の回収期間などをシミュレーションする |
| 【ステップ3】 設計・申請手続き | 架台や基礎の設計。電力会社と経済産業省への申請のほか、補助金制度の申請、保険加入の手続きなどを行う(一般的に、申請手続きは施工業者が代行する) |
| 【ステップ4】 設置工事・配線工事 | 基礎工事、架台の取り付け、関連機器の取り付け、電線工事などを行う |
| 【ステップ5】 検査・運転開始 | 施工検査、電力会社による検査を実施後、産業用太陽光発電設備の運転を開始する |
産業用太陽光発電は、計画から設置まで6カ月~1年程度かかるのが一般的です。ただし、設置形態や規模など、条件によってはさらに長い期間を要する場合もあります。
産業用太陽光発電システムの導入目的や設置場所、予算などの計画を立てたら、早めに施工業者へ連絡するようにしましょう。
設置費用も考慮しながら産業用太陽光発電の導入計画を立てよう
産業用太陽光発電の導入費用は、出力容量や設置形態などによって異なります。まずは、規模や設置場所を明確にした上で、相場を確認するとよいでしょう。専門的な内容の工事となるため、価格だけでなく、信頼できる施工業者を選ぶことも重要です。長期的な視点でのメリットやリスク、資金調達方法なども十分に検討し、自社に最適な形で産業用太陽光発電を導入しましょう。
HELLO!GREENでは、これから脱炭素経営に取り組む中小企業の皆さまに向けて、有益な情報を発信しています。環境省認定制度「脱炭素アドバイザー アドバンスト」にも認定されている 「炭素会計アドバイザー」資格を持つ専門スタッフの知見を活かし、わかりやすく信頼できる記事づくりに努めています。