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デマンド電力とは?デマンド値や電気代削減のコツを徹底解説

脱炭素経営を始めるなら、まずは脱炭素の基本ガイドをチェック

「電気代の基本料金が高止まりして経営を圧迫している」「デマンド電力の管理が重要だと聞くが、具体的に何をすればいいの?」といったお悩みはありませんか。電力コストの適正化を阻んでいるのは「たった30分間の使いすぎ」かもしれません。電力料金の仕組みを正しく理解し、デマンド値(最大需要電力)を制御することは、企業の固定費削減において効果が高い施策です。

本記事では、電力料金が決まる仕組みからデマンド値の具体的な抑制方法、さらには企業の価値を高める脱炭素経営へのつなげ方まで分かりやすく解説します。

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記事の要点
  • デマンド値(最大需要電力)とは、30分間の電力使用量の平均値のうち、1カ月間における最大値のこと。
  • 当月を含む過去12カ月間のデマンド値が契約電力の基準となるため、一時的な突出が1年間の基本料金に影響する。
  • 適切なデマンド管理は、コスト削減だけでなく、脱炭素経営の強力な推進力となる。
目次

デマンド電力とは?30分間の平均値から算出される「デマンド値」

一般的に「デマンド」という言葉は需要を意味しますが、電力の場合「使用電力の瞬時値(kW)」の意味で使用されます。一方で、電力料金の削減を考える上で、より直接的に関わってくるのが「デマンド値」です。

環境省の資料によると、電力会社との取引におけるデマンド値とは「最大需要電力」のことをい、30分単位の平均使用電力における1カ月間の最大値がこれに該当します。

このデマンド値を抑制し、電力削減・省エネ、さらにはCO2排出量の削減を同時に実現することが、デマンド電力管理の真の目的となります。

電気代が決まる仕組み丨デマンド値で1年間の契約電力が決まる

電気料金は、大きく分けて「基本料金」と「電力量料金」の合計で構成されます。これに燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金が加わり、最終的な支払額が決定します。

■電気料金の計算式

電気料金の計算式
出典:環境省 SHIFT 工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業『CO₂削減対策Navi (参考)過去のCO₂削減対策メニュー

特に注目すべきは「基本料金」です。基本料金は「料金単価✕契約電力✕(185-力率)/100」という数式で算出されますが、この計算のベースとなる「契約電力」の決定方式には、設備規模によって2つのパターンがあります。

■最大電力の契約方式

最大電力の契約方式
出典:環境省 SHIFT 工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業『CO₂削減対策Navi CO₂削減対策メニュー

工場やオフィスビルなどの高圧電力を利用する施設のうち、500kW未満の「実量制契約」では、当月のデマンド値と過去11カ月のデマンド値を比較し、その中で最も高い数値がその月の契約電力として採用されます。

つまり、当月を含む過去12カ月間のデマンド値のうち、一度でも極端に高い数値を記録してしまうと、たとえ翌月から節電に励んでも、その突出した数値が基準として1年間維持されてしまうのです。一時的な突出が長期的なコスト増に直結するため、数値を一定以下に抑え続けることは、固定費の適正化において不可欠な取り組みといえます。

電気代の基本料金を削減!デマンド電力抑制3選

基本料金を削減するためには、闇雲な節電ではなく戦略的な対策が求められます。施設内での電力消費のパターンを分析し、以下の3つの手法を組み合わせることが重要です。

1.ピークカット丨デマンド電力の最大値を抑える

ピークカットとは、電力を最も多く使う時間帯(ピーク時)の使用量を、設定した目標値を超えないように抑制・遮断する手法です。

例えば、大型設備が稼働している間は事務室の空調を一時的に弱める、あるいは監視装置を導入して目標値に近づいた際に警報を鳴らし、手動や自動で特定の負荷を停止させるといった対策です。これにより、30分間の平均電力が跳ね上がるのを物理的に防ぐことができます。

また、「コージェネレーションシステム」(熱電併給)の活用も非常に効果的です。電力需要がひっ迫する寒い日などに稼働させることで、電力系統の代替として大きなピークカット効果を発揮します。発電時の排熱を空調に再利用すれば、空調由来の電力需要も抑制可能。捨てられていた熱を有効活用し、エネルギー効率を高めながらデマンド値を直接的に引き下げることができます。

2.ピークシフト丨使用する時間帯をずらす

ピークシフトとは、電気を使う時間帯をずらすことで、特定の時間に電力が集中するのを避ける手法です。

1日のトータルの電力使用量(kWh)が同じであっても、使用する時間を分散させることで、デマンド値を抑えることが可能です。具体的には、生産ラインの稼働時間を早朝や夜間にずらしたり、夜間の電気を蓄電池に貯めておき、昼間のピーク時に放電して活用したりする対策が挙げられます。

3.電気の見える化|デマンド閲覧システムで変動をチェックする

管理の第一歩は、現状を数値で捉える「見える化」です。デマンド監視システムなどの閲覧システムを導入すると、エネルギーが「いつ」「どこで」「どれくらい」使われているかをデータとして把握できるようになります。

「どの設備を動かした瞬間に数値が上昇するのか」が明確になれば、現場での具体的な改善ルールが作りやすくなります。数値化によってこれまで見えていなかった「無駄」が浮き彫りになることは、組織全体での改善活動を加速させ、持続的なデマンド値の抑制を可能にする強力な動機となります。

企業や施設で使用するエネルギーを「見える化」し、最も効率的になるように最適に「制御」するエネルギーマネジメントの記事も参考になります。

デマンド電力抑制事例

適切に数値を管理し、コスト削減と環境対策を両立させている事例を紹介します。

【ピークカット】蓄電池運用で電力料金削減(有限会社高津農場)

有限会社高津農場では、太陽光発電と蓄電池を組み合わせた運用でピークカットに取り組んでいます。

日中の電力需要が高まる時間帯に、蓄電池に貯めた電気を放電することで、系統からの買電量を抑制。これによりデマンド値の上昇を防ぎ、電力料金の削減に成功しています。再生可能エネルギーを有効活用しながらコストを抑える、非常に効果が高い取り組みです。

ピークカット電力料金削減
出典:環境省『令和6年度版(2024年度版)活用事例

【ピークシフト】余剰電気を活用してCO2排出量削減(株式会社キヤナギ重機)

株式会社キヤナギ重機では、ソーラーカーポートを導入し、発電した電気を自家消費することでピークシフトを実現しています。

ピーク時間帯の電気を自前の再エネでまかなうことで、電力会社から購入する電力量の最大値を抑制。コスト削減だけでなく、CO2排出量の削減という環境価値の向上にも大きく寄与しています。

なお、ソーラーカーポートについては、以下の記事で詳しく解説しています。

【電気の見える化】モニター導入で省エネを目指す(日本テクノ株式会社・株式会社富士薬品)

株式会社富士薬品では、日本テクノ株式会社のデマンド監視装置「見える化モニター」を導入し、現場主導の省エネ活動を推進しています。

電気の見える化により、電力使用の「量」に対する従業員の意識が向上しました。また、取り組んだ省エネ活動の成果がモニターを通してその場で確認できるため、具体的な手応えを即座に実感できるようになっています。

コスト削減のその先へ。デマンド管理は「脱炭素経営」につながる

これらの取り組みは、単なる固定費削減に留まりません。今後、企業において不可欠となる「脱炭素経営」を実現するための強力な推進力となります。

デマンド管理の真価は、単なる現状把握ではなく、「CO2排出量の直接的な削減」を主体的にコントロールできる点にあります。例えば、電力需要が高まるピーク時にソーラーカーポートなどの再生可能エネルギーを活用することは、化石燃料由来の系統電力をクリーンなエネルギーへと置き換える行為です。また、コージェネレーションシステムによって発電時の廃熱を無駄なく利用することも、燃料全体の消費を抑え、施設全体の排出量削減に大きく寄与します。

現在、パリ協定に整合した削減目標である「SBT(Science Based Targets)」の認定取得を目指す企業が増えています。デマンド管理を通じて排出量を主体的に制御できる体制を整えることは、SBTの目標達成を助ける具体的な施策となり、社会から「選ばれる企業」になるための重要な戦略となるでしょう。

要件を満たせば取得が目指せる「中小企業版SBT」もありますので、中小企業の担当者もチェックしてみてください。

→詳しい事例や取り組みのポイントなど、脱炭素経営の進め方が分かる資料はこちら

デマンド電力の最適化から、脱炭素経営へ踏み出そう

デマンド値(最大需要電力)の仕組みを理解し、適切に管理することは、1年間の電気代を減らす力を持っています。まずは自社の使用状況を正確に把握し、ピークカットやピークシフト、そして見える化といった具体的なアクションにつなげていきましょう。

また、この取り組みを、単なるコスト削減だけで終わらせるのは非常にもったいないことです。蓄積した電力データを活用し、自社の価値を高める脱炭素経営へと発展させてみてはいかがでしょうか。

HELLO!GREEN

執筆:HELLO!GREEN編集部

HELLO!GREENでは、これから脱炭素経営に取り組む中小企業の皆さまに向けて、有益な情報を発信しています。環境省認定制度「脱炭素アドバイザー アドバンスト」にも認定されている 「炭素会計アドバイザー」資格を持つ専門スタッフの知見を活かし、わかりやすく信頼できる記事づくりに努めています。

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