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CO2削減対策は大丈夫?見直しが必要なタイミング・流れ・改善策を解説

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CO2削減に向けた取り組みがすでに多くの企業で始まっています。しかし、現場の担当者からは「一通りの対策はやり尽くしたが、目標に届かない」「取引先からの要求が一段と厳しくなってきた」という悩みの声も多く聞かれるようになりました。

CO2削減対策は一度計画を立てれば終わりではありません。社会情勢や技術の進歩に合わせて、定期的に「見直し」を行うことが、結果としてコスト削減や企業の競争力強化につながります。

本記事では、すでに施策を講じている企業の環境担当者に向けて、見直しのベストタイミングや具体的なステップ、そして新たな改善につながる取り組みとして注目される「SBT認定」について分かりやすく解説します。この記事を読めば、自社の取り組みをより効果的にアップデートする道筋が見えてくるはずです。

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記事の要点
  • 削減効果の停滞や外部基準の変化は見直しのサイン。現状分析と課題抽出で実効性を高める
  • 物流効率化や業務のデジタル化など、自社の実態に合った具体策で削減を加速させる
  • 目標再設定には「中小企業版SBT」が有効。国際基準の認定で信頼性と競争力を強化する
目次

企業のCO2削減対策は「見直し」が重要

CO2(二酸化炭素)削減対策を継続していると、必ずといっていいほど「効果の停滞」という壁にぶつかります。初期段階で行ったLED照明への交換やこまめな消灯といった施策は、即効性があるものの、それだけで長期的な目標を達成するのは困難です。

今、企業に求められているのは、単なる「節電」の延長ではなく、ビジネスモデルそのものを環境適応型へと進化させることです。対策の見直しを行うことで、数年前には高価だった再エネ技術や省エネ設備が現在では導入しやすくなっているといった「最新技術の導入によるコスト最適化」が期待できます。

また、サプライチェーン全体での排出量削減が求められる中、最新の基準に合わせた対策を打ち出すことは「外部評価の向上」につながり、取引先からの信頼獲得に寄与します。さらに、無理な運用による現場の疲弊や、法令改正への対応漏れといった「リスク」を早期に発見し、トラブルを未然に防げる点も大きなメリットです。対策の見直しは、決して過去の否定ではなく、次なる成長のための「軌道修正」なのです。

CO2削減対策の見直しが必要となるのはどんなとき?

「具体的にいつ見直せばいいのか?」という判断基準を持つことは、担当者にとって非常に重要です。見直しの検討を始めるべき3つのサインを確認しましょう。

サイン1.削減効果が伸び悩んでいる

LED化や空調制御、太陽光発電システムの導入といった対策を開始してから数年が経過し、CO2排出量の削減が停滞、あるいは増加に転じている場合は見直しのタイミングです。これは、現在の設備や運用ルールによる削減ポテンシャルを使い果たしたことを示しています。

サイン2.社内のコストや運用で無理が生じている

「環境のために」と現場に過度な負担を強いていないでしょうか。例えば、無理な空調制限による作業効率の低下や、複雑すぎるデータ集計業務による担当者の長時間労働などは、持続可能な対策とは言えません。

また、導入時に活用した補助金が終了した後にランニングコストが捻出できず、活動の継続が困難になるといったケースも散見されます。経済合理性と現場の納得感のバランスが崩れていると感じたら、運用をシンプルにするか、自動化ツールを導入するなどの改善が必要です。

サイン3.社外の脱炭素要請や基準の変化に対応できていない

昨今、大手企業を中心にサプライヤー(取引先)に対しても具体的な削減目標やSBT認定の取得を求めるケースが急増しています。以前は「努力目標」で済んでいたものが、今や「取引継続の条件」になりつつあります。

脱炭素要請への対応が遅れていると、顧客や投資家から取り組みの進捗について問われた際に明確に答えられず、企業の信頼性や競争力が低下する恐れもあります。外部環境の変化を敏感に察知し、自社の基準が最新の要請に適合しているかを常に見直してアップデートしなければなりません。

CO2削減対策の成功事例

他社がどのように課題を解決したのか、具体的な事例を見ていきましょう。

株式会社カーメイト:製品のサブスクサービスを展開して廃棄物を削減

カー用品やスポーツ用品の製造販売を行う株式会社カーメイトでは、製品を「売って終わり」にしない施策を実施。子供の成長に伴い使用期間が限られてしまうチャイルドシートのサブスクリプション(定額制レンタル)サービスを開始しました。

課題生産ロスの削減や廃棄物処理コストの抑制、Scope1・2・3およびLCA(ライフサイクルアセスメント)の算定精緻化
施策・発注管理や需要予測の徹底による生産ロス削減
・使用済チャイルドシートの回収
・メンテナンス体制の構築
・循環型ビジネスの推進による廃棄物の最小化 
・本社および工場の照明を100%LED化
・省電力型空調設備の導入
効果2023年度の廃棄物削減目標(前年比20%減)を大幅に上回る30%減を達成。設備面はLED化により照明の電力使用量を7割、空調の省エネ化により4割の削減に成功

東横化学株式会社:省エネや書類のデジタル化などで電力使用量を削減

産業用ガスや化学品の販売、プラントの設計・施工などを行う東横化学株式会社では、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた独自の削減計画を策定し、段階的に進めています。

課題2027年度までに温室効果ガスGHG)排出量を15%削減(2024年度比)するという中期目標達成の実現
施策・空調更新や照明LED化、クリーンルームのインバーター化(2003年比で電力30%削減) 
・Scope1〜3の全範囲算定による、効率的な削減施策の特定・検討 
・電力損失を大幅に低減する「SiC半導体」製造用熱処理装置の開発
・工場への太陽光発電設備の導入推進および再エネ電力プランへの切り替えを検討
効果次世代半導体製造装置で国内トップクラスのシェアを獲得し、低炭素化ニーズの高まりとともに業績も向上。自治体の脱炭素関連プロジェクトへの登録を通じて企業のプレゼンスが高まったほか、迅速な情報開示が可能になったことで取引先との関係強化に寄与

株式会社ミクニ:サプライチェーン全体での排出量削減と仕入先支援を推進

生活環境機器や福祉機器などの製造・販売を行う株式会社ミクニでは、「2030年までにScope1〜3を半減」「2050年までのカーボンニュートラル達成」という高い目標を掲げ、自社のみならずサプライヤーを巻き込んだ活動を展開しています。

課題2030年の目標達成に向け、Scope1・2だけでなく、排出量の大部分を占めるScope3(サプライチェーン)の把握、具体的な削減に向けた仕入先企業との連携体制の構築
施策・Scope1〜3の排出量算出と、科学的根拠に基づく削減目標の設定
・再エネ設備の導入、低炭素エネルギーへの切り替え、環境配慮型製品の製造推進
・仕入先との「カーボンニュートラル分科会」設置による、具体的な削減計画の策定や実行支援
・自社所有のエア漏れ検出装置を活用した、仕入先工場への運用改善アドバイス
効果統合報告書やOEM顧客への実績報告を通じて透明性の高い情報開示を行うことで、取引先から高い評価と信頼を獲得。IT企業と連携したCO2排出量収集システムの構築や、分科会参加企業が次の企業を教育する仕組みづくりを推進

自社のCO2削減対策を見直す5ステップ

見直しをスムーズに進めるための5つのステップを解説します。

ステップ1.現状の排出量と削減効果を確認

まずは「見える化」の再徹底です。直近1〜3年分のエネルギー使用量データを集計し、以前立てた計画と実績の乖離を数値で把握します。

ステップ2.課題の洗い出し

数値が改善していない部門を特定し、「設備の問題か」「運用の問題か」を現場ヒアリングなどで明確にします。

ステップ3.見直しが必要な施策を決定

洗い出した課題に対し、費用対効果が低い、あるいは運用に無理がある既存の対策を改善するとともに、費用対効果の高い新規対策の導入を検討します。あわせて、事例で紹介したような「ビジネスモデルの転換」や「サプライヤーとの連携体制の構築」など、一歩踏み込んだ対策も視野に入れ、自社にとって最適な手段を決定しましょう。

ステップ4.具体的な削減目標を再設定

現状を踏まえ、2030年や2050年のゴールを見据えた中長期的なCO2削減目標や戦略を必要に応じて調整します。科学的根拠に基づいた野心的な目標を再設定することで、脱炭素経営の加速を目指しましょう。

ステップ5.社外への発信

見直した計画を社外に公表することで、企業の姿勢をアピールします。これまでの施策を振り返り、戦略を再構築して競争力を強化している姿勢を明確に示すことは、取引先や顧客からの信頼獲得や、新たなビジネス機会の創出につながります。また、こうした透明性の高い公表は、融資の受けやすさ(サステナブルファイナンス)にも良い影響を与えます。

CO2削減目標を見直すなら「SBT認定」も視野に

削減対策を見直す際、次に目指すべき指標として「SBT(Science Based Targets)」の認定取得を検討してみてはいかがでしょうか。SBTは、パリ協定が求める「世界の平均気温上昇を1.5℃以内に抑える」という水準に基づいた、科学的根拠のある温室効果ガス削減目標です。

自社で独自に「前年比5%削減」といった目標を掲げるのも良いですが、SBTは「環境のために今どれだけの削減が必要か」という科学的なデータから逆算して目標を設定します。この客観的なアプローチは、対外的に「現実的かつ実効性のある計画」として認められるため、非常に高い信頼性を誇ります。

下のグラフの通り、日本でも多くの企業がSBTに参加しています。

日本のSBT参加企業
出典:環境省『排出量削減目標の設定

近年、多くの大手企業が取引条件にSBT認定を盛り込み始めているのは、この認定が「国際基準に適合した取り組み」の強力なエビデンスになるからです。

認定取得は、取引先や投資家、金融機関からの評価を確固たるものにする「信頼の証」となります。見直しのタイミングでSBTを視野に入れることは、社会的な信用と将来の競争力を同時に高める、極めて有効な戦略といえるでしょう。

中小企業が申請しやすい「中小企業版SBT」とは?

SBT認定には、中小企業向けに手続きを簡略化した「中小企業版SBT」が用意されています。最大の特徴は、算定の難易度が高いScope3(サプライチェーン排出量)の削減目標設定が免除されている点です。もちろんScope3の把握や削減も推奨されますが、まずは自社でコントロールしやすいScope1(直接排出)とScope2(間接排出)の目標設定に集中することで、世界水準の評価を確立できます。

この認定を得ることは、国際基準に基づいた脱炭素への姿勢を客観的に示すことになり、大手取引先からの信頼獲得や融資の円滑化といった実利につながります。申請手続きはオンラインで完結し、費用も通常版より抑えられているため、対策を見直す際の新たなゴールとして最適です。見直しを機にグローバルなスタンダードに適合していると証明されることは、自社の環境経営を社内外へアピールする極めて強力な手段となります。

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CO2削減対策が適切か見直しして、脱炭素への取り組みを強化しよう

CO2削減対策の見直しは、地球温暖化が進む中での企業の現在地を確認し、持続可能な成長へと舵を切るための重要なプロセスです。「削減効果が伸び悩んでいる」「社外からの要請が強まった」と感じたときは、施策をアップデートする絶好のチャンスといえます。

現状の正確な把握から始め、業務のデジタル化やサプライヤーとの連携体制の構築といった新しい施策を取り入れるとともに、SBT認定のような客観的な指標を指針に据えましょう。定期的な見直しと改善のサイクルを回すことで、環境への貢献と企業の競争力強化は必ず両立できます。

まずは直近のエネルギー使用データを整理し、小さな一歩から着手してみてください。適切な見直しを継続することは、脱炭素経営を次なるステージへと進化させ、持続可能な未来を切り拓く重要な鍵となります。

HELLO!GREEN

執筆:HELLO!GREEN編集部

HELLO!GREENでは、これから脱炭素経営に取り組む中小企業の皆さまに向けて、有益な情報を発信しています。環境省認定制度「脱炭素アドバイザー アドバンスト」にも認定されている 「炭素会計アドバイザー」資格を持つ専門スタッフの知見を活かし、わかりやすく信頼できる記事づくりに努めています。

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