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サステナブル調達とは?意味や背景、CSR調達・グリーン調達も解説

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サステナブル調(持続可能な調)は、今や企業経営において避けて通れない重要課題です。近年、サプライチェーン全体での環境・人権配慮が重視され、中小企業にも取引先から調査票への回答やガイドライン遵守を求められるケースが急増しています。

「急に対応を求められたが、何から始めればよいか」「CSR調と何が違うのか」と不安を感じる担当者の方も多いでしょう。

本記事では、サステナブル調の基礎知識やメリット、具体的な進め方4ステップ、企業事例を詳しく解説します。最後まで読めば全体像が理解でき、自社が今取り組むべきアクションが明確になります。

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記事の要点
  • サステナブル調達は、環境・社会・経済に配慮した製品やサービスを優先的に購入する手法です。
  • 背景には企業の社会的責任の拡大があり、取り組むことで取引先からの信頼や採用力の強化につながります。
  • 方針策定やサプライヤーとの対話など、4ステップで段階的に進めることが成功のポイントです。
目次

サステナブル調達とは?

サステナブル調達とは、製品やサービスを調達(購入)する際に、価格や品質、納期といった従来の基準に加え、「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)の視点を取り入れる手法のことです。

具体的には、GHG排出量の削減、児童労働の禁止、適切な労働環境の確保、法令遵守などに取り組んでいるサプライヤーから優先的に購入することを目指します。かつては自社の利益や効率性が最優先されていましたが、現在では「自社が関わるサプライチェーン全体が持続可能であるか」が企業の存続を左右する重要な指標となっています。

国際規格としては「ISO 20400(持続可能な調達)」が2017年に発行されており、組織が持続可能な調達を実践するためのガイダンスとして活用されています。

サステナブル調達とCSR調達に違いはある?

「サステナブル調達」と似た言葉に「CSR調達」があります。CSR(Corporate Social Responsibility)は「企業の社会的責任」を意味し、CSR調達も環境や人権への配慮を目的としています。

厳密な定義の違いというよりは、時代の変遷とともに呼び方が変化してきた側面があります。CSR調達は「企業としての責務(義務)」というニュアンスが強かったのに対し、サステナブル調達は「将来にわたって事業を継続し、社会をより良くするための戦略的な取り組み」という、より広範でポジティブな視点が含まれています。

現在では、SDGs(持続可能な開発目標)の普及に伴い、より包括的な概念である「サステナブル調達」という言葉が一般的に使われるようになっています。

サステナブル調達の環境面を担うグリーン調達

サステナブル調達の中でも、特に「環境負荷の低減」に特化した取り組みを「グリーン調達」と呼びます。

従来の価格・品質・納期といった基準に加え、有害物質の不使用やリサイクル性、省エネ性能など「環境」への影響を重視して、製品やサービスを優先的に購入する手法です。

日本では「グリーン購入法」が施行されており、公的機関による環境配慮型物品の調達が義務付けられているほか、民間企業にも努力義務が課されています。人権や労働慣行まで包括する「サステナブル調達」に対し、グリーン調達はその中核となる「環境」にフォーカスした概念です。

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サステナブル調達が企業に求められる背景

なぜ今、あらゆる企業にサステナブル調達が求められているのでしょうか。その最大の背景は、企業の責任範囲が「自社」から「サプライチェーン全体」へと拡大したことにあります。

例えば、ある製品の製造過程で人権侵害や深刻な環境破壊が発覚した場合、その部品を調達して販売している最終製品メーカーも厳しい社会的批判を浴びることになります。投資家や消費者の目も厳しくなっており、サプライチェーンの透明性を確保できない企業は、投融資の引き揚げ(ダイベストメント)や不買運動のリスクにさらされる可能性があります。

また、欧州を中心に、サプライチェーン上の人権・環境デュー・ディリジェンスを義務付ける法整備が進んでいることも、日本企業が対応を迫られる大きな要因です。

サステナブル調達のメリット3点

サステナブル調達への対応は、単なる「コスト」や「義務」ではありません。中小企業にとっても、積極的に取り組むことで多くのメリットを享受できます。

1.商品やサービスの付加価値向上

サステナビリティに配慮した原材料や工程を経て作られた製品は、それ自体が差別化の要因となります。エシカル消費への関心が高まる中、環境・社会に優しい商品は、消費者や顧客企業から選ばれる理由になります。

単なる「安さ」ではなく、その背景にある「ストーリー」や「信頼性」を付加価値として訴求することが可能です。

2.取引先からの信頼を獲得

大手企業は、自社のサステナビリティ目標を達成するために、サプライヤーの選定基準を厳格化しています。

早い段階でサステナブル調達の基準を満たし、透明性の高い情報開示を行える中小企業は、取引先の大企業にとって「リスクの低いパートナー」として評価されます。既存取引の継続はもちろん、新規取引の獲得においても強力な武器となります。

3.採用力の強化

特にZ世代などの若年層を中心に、企業の社会貢献姿勢や働く環境の健全性を重視して就職先を選ぶ傾向が強まっています。

サステナブル調達に取り組み、人権や環境を大切にしている姿勢を対外的に示すことは、優秀な人材を惹きつける大きなアピールポイントとなります。従業員のエンゲージメント向上にも寄与し、離職率の低下も期待できるでしょう。

サステナブル調達に取り組むための4ステップ

具体的にどのような手順で進めればよいのか、4つのステップに分けて解説します。

サステナブル調達の4ステップ

1.社内共有とリスクの特定(ホットスポット分析)

まずは社内で「なぜサステナブル調達が必要なのか」という目的を共有します。その後、自社のサプライチェーンにおいて、どの工程や地域で環境・人権リスクが高いかを特定します。

これを「ホットスポット分析」と呼びます。例えば、特定の原材料が環境破壊の激しい地域から調達されていないか、労働問題が指摘されている国の工場を使っていないかなどを洗い出します。

2.サステナブル調達方針やガイドラインの策定・公表

自社の考え方を示す「サステナブル調達方針」を作成します。そして、サプライヤーに対して守ってほしい具体的なルールをまとめた「サプライヤーガイドライン」を策定し、ホームページなどで公表します。

これにより、自社の姿勢を内外に明確に示すことができます。

3.サプライヤーとの対話と現状把握

ガイドラインの内容をサプライヤーに周知し、説明会やアンケートを通じて現状の取り組み状況を把握します。

いきなり厳しい基準を押し付けるのではなく、「共に持続可能な社会を目指すパートナー」として対話することが重要です。アンケートの結果、リスクが見つかった場合は、改善に向けた協力を要請します。

4.定期的なモニタリング・協働による改善支援

一度調査して終わりではなく、定期的に取り組み状況を確認(モニタリング)します。

もし改善が進まないサプライヤーがある場合は、一方的に取引を停止するのではなく、課題解決に向けたアドバイスや技術支援を行う「協働(エンゲージメント)」の姿勢が求められます。サプライヤーの成長を支援することが、自社のサプライチェーンの安定に直結します。

サステナブル調達の基準を明確にするSBT認定の活用

サステナブル調達の中でも、特に「脱炭素」の取り組みを客観的に評価する指標として活用されているのが「SBT(Science Based Targets)」認定です。

SBTは、パリ協定が求める水準と整合した、科学的根拠に基づいた温室効果ガス削減目標のことです。サステナブル調達においては、取引先から「SBT認定を取得していること」や「SBT水準の目標を立てること」を求められるケースが増えています。

自社がSBT認定を取得することで、サステナブル調達への本気度を証明でき、取引先とのコミュニケーションが非常にスムーズになります。中小企業向けの簡易的な申請枠「中小企版SBTも用意されているため、まずはこの基準を参考に目標を立てるのが有効です。

【企業事例】サステナブル調達の3つのアプローチ

実際にサステナブル調達に取り組んでいる企業の事例を、アプローチ別に紹介します。

1.【実践】サステナビリティ配慮型商品の取り扱い

株式会社明治では、カカオ豆の調達において、独自の農家支援活動である「メイジ・カカオ・サポート(MCS)」を通じて生産された「明治サステナブルカカオ豆」を使用する目標を掲げました。

産地に直接足を運び、農園までのトレーサビリティの確立や「児童労働ゼロ」「森林減少ゼロ」といった課題解決に自ら取り組んだ結果、2024年度には当初の目標を前倒しして同カカオ豆の調達比率100%を達成しました。自らの調達基準を持続可能なものに変え、サプライチェーン全体の課題解決に成功している事例です。

2.【運用】ガイドラインの策定とサプライヤー管理

TOPPANホールディングス株式会社では、「TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン」を策定し、主要サプライヤーに対して遵守状況の確認・改善を行っています。

具体的には、サプライヤーに対して「自己評価アンケート」を実施し、その回答をもとに「業界平均」や「詳細な改善項目」を各社へフィードバックするという内容です。必要であれば是正措置を行う体制を整えました。また、サプライヤー側の算定負担を軽減するため、パッケージ製品に特化した自社開発のCO2排出量算定クラウドシステム「SmartLCA-CO2」も導入・運用しています。

こうした積極的な働きかけと支援の結果、2023年には購入金額ベースで67%にあたる1,952社もの取引先からアンケートの回答を得ており、サプライチェーン全体を巻き込んだリスク管理と持続可能性の向上を前進させている事例です。

3.【支援】専門知識による伴走支援

革製品ブランドを運営する株式会社FrankPRは、製造過程での実践的なサステナブル経営の知見を活かし、企業の脱炭素化を支援しています。

具体的には、取引先への啓蒙活動をしたり、小冊子の配布や脱炭素やSDGsの疑問に自社ホームページ「脱炭素とSDGsの知恵袋」で回答したり、社会全体のサステナビリティ推進に貢献する役割を担っています。

サステナブル調達を取り入れ、脱炭素経営を強化しよう

サステナブル調達は、今や避けて通れないビジネスの必須条件となりつつあります。しかし、それは決して負担だけではありません。

自社の調達プロセスを見直し、環境や人権に配慮した経営へと舵を切ることは、リスク回避だけでなく、新たな市場の獲得や優秀な人材の確保、そして取引先との強固な信頼関係構築に直結します。
まずは自社の現状を把握し、できるところから一歩ずつ進めていきましょう。サステナブル調達を脱炭素経営の柱の一つとして位置づけることが、将来にわたる企業の成長を支える鍵となります。

HELLO!GREEN

執筆:HELLO!GREEN編集部

HELLO!GREENでは、これから脱炭素経営に取り組む中小企業の皆さまに向けて、有益な情報を発信しています。環境省認定制度「脱炭素アドバイザー アドバンスト」にも認定されている 「炭素会計アドバイザー」資格を持つ専門スタッフの知見を活かし、わかりやすく信頼できる記事づくりに努めています。

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