初めての
脱炭素経営を
サポート!

サーキュラーエコノミーにおけるPaaSとは?意味や企業事例も解説

脱炭素経営を始めるなら、まずは脱炭素の基本ガイドをチェック

サーキュラーエコノミーにおけるPaaS(製品のサービス化)とは、所有から利用へ価値を転換する仕組みです。「環境対応とコスト削減の両立が難しい」と悩む経営者や担当者へ、環境省などの専門情報を基に解決策を提示します。

これを読めば、PaaSのメリットへの理解が深まり、社内での取り組みが進めやすくなることがわかるでしょう。また、導入時の課題対策や実際の成功事例についても解説していますので、ぜひご一読ください。

HELLO!GREENでは脱炭素経営の進め方に悩む中小企業さまに向けたお役立ち資料をご用意しています。ぜひご活用ください。
→資料を無料ダウンロードする

記事の要点
  • サーキュラーエコノミーにおけるPaaSとは、製品の「所有」から「利用」へ価値を転換するビジネスモデルです。
  • 導入により、初期費用の削減や管理工数のカットに加え、製品の長寿命化によるCO2排出量の削減が期待できます。
  • 長期コスト増や違約金を防ぐため、シミュレーションや家具・空調の成功事例を参考に慎重な検討が必要です。
目次

サーキュラーエコノミーにおけるPaaS(製品のサービス化)とは?基本概念を解説

持続可能な社会の実現に向け、企業のビジネスモデルは従来の大量生産・大量消費から大きく変化しています。その中で注目を集めているのが、製品の「所有」から「利用」へと価値を転換するPaaSの仕組みです。まずは基本概念を整理しましょう。

PaaSとは?

PaaSとは「Product as a Service」の略称であり、日本語では「製品のサービス化」と訳されます。従来の製造業のように製品そのものを販売するのではなく、製品が提供する機能や利用パフォーマンスをサービスとして提供するビジネスモデルです。

所有権は製造業者やサービス提供側に残り続けるため、使用後の製品の回収や修理、再資源化までを製造元が責任を持って行う構造が生まれます。

【基礎情報】サーキュラーエコノミーとは?

サーキュラーエコノミー(循環経済)とは、従来の資源を「取って、作って、捨てる」という一方通行型のリニアエコノミー(線型経済)からの脱却を目指す経済システムです。

サーキュラーエコノミーとリニアエコノミー
参考:環境省『第2節 循環経済への移行』を加工して作成 

このシステムは、単に廃棄物を減らす枠組みではありません。設計段階から廃棄物をゼロにすることや、資源の循環維持を前提として組み立てられています。

(参考:環境省『循環経済(サーキュラーエコノミー)』)

【参考】IT用語としてのPaaS

IT分野におけるPaaSは「Platform as a Service」を指し、アプリケーションの開発基盤をクラウド経由で提供するシステムを意味します。

この記事で紹介しているPaaSとは異なる概念であるため、混同しないよう注意が必要です。

(参考:総務省『平成30年版 情報通信白書』)

サーキュラーエコノミーにおけるPaaSの役割

サーキュラーエコノミーの推進において、PaaSは事業者が製品のライフサイクル全体に責任を持つ拡大生産者責任(EPR)を具体化する重要な役割を担います。

製品が売切型でなくなると、製造事業者にとっては「壊れにくく長持ちする製品」や「分解・再利用が容易な製品」を設計する強い経済的動機が生まれます。

PaaSによる製品と資源の循環プロセス
・製品寿命の最大化: 定期的なメンテナンスや修繕を行うことで、一つの製品をより長く使い続ける仕組み
・確実な回収と再資源化: 役目を終えた製品をメーカー自身が回収し、部品や素材として再び活用する仕組み

PaaSを導入するメリット3点

PaaSの導入は単なる環境配慮にとどまらず、企業の財務面や業務効率化の観点においても数多くの利点をもたらします。自社の経営課題を解決する手段として、得られる主なメリットを押さえておきましょう。

1.コスト削減│初期費用を抑えて管理の手間もカット

高額な機器や設備を自社で購入する場合、多額の初期投資が必要となり資金繰りを圧迫する要因となります。

PaaSを活用すれば、初期費用を低く抑えて月額利用料として平準化できるため、資金計画が立てやすくなります。また契約形態によっては、所有権を伴わないため減価償却の計算や固定資産税の管理業務といった社内コストの削減も期待できるでしょう。

2.環境への貢献│製品の長寿命化で廃棄や資源ロスを抑える

PaaSを導入することで、自社が排出する産業廃棄物の量を直接的に抑制でき、企業の資源ロスの削減に大きく寄与します。

製品の提供側によって定期的な保守や部品交換が実施されるため、1つの製品を長く最適な状態で維持できるのが大きな特徴です。 

契約内容によっては必ずしも最新機種へアップデートされるとは限りませんが、適切なメンテナンスにより製品寿命が延びるため、結果として廃棄リスクを最小限に抑えることが可能となります。

CO2排出量の削減効果

PaaSの導入は、ライフサイクル全体でのCO2排出量削減にも大きく貢献します。

製品の長寿命化によって機器を新調する頻度が減るため、新たな製品の原料調達や製造、輸送段階で発生する温室効果ガスGHG)を抑制できます。

また、使用済み製品が提供側によって適切に回収・リサイクルされることで、廃棄や焼却に伴う環境負荷も低減できるため、事業活動全体の脱炭素化を強力に推進できるでしょう。

CO2排出量の見える化

脱炭素経営を推進するうえでは、自社の温室効果ガス排出量を正確に把握することが最初のステップとなります。

PaaSの導入が自社の環境負荷低減にどれほどの効果をもたらしているかを正しく把握するためにも、まずは自社のCO2排出量を算定することが重要です。

また、PaaSを導入した製品の使用電力データがある場合は、自社のサプライチェーン全体の排出量(Scope3)算定に活用できるでしょう。

(参考:経済産業省『排出量算定に関するガイドライン』)

SBT認定を取得しよう

SBT(Science Based Targets)とは、パリ協定が求める水準に整合した温室効果ガス削減目標を設定し、認定を受ける国際的な枠組みです。中小企業においても、環境経営のアピールや取引喪失リスクの回避など、企業価値向上のために「中小企業版SBT」の取得を目指す動きが急増しています。

SBT認定を取得することで、対外的な信頼性が高まり、持続可能なビジネスの展開が期待できます。これから取得を検討している場合は、事前に具体的な手続きや費用を把握しておくことが重要です。

中小企業版SBT認定の具体的な要件や申請のステップについては、以下の記事で解説しています。

【中小企業向け】脱炭素経営に関する無料相談会開催中!
脱炭素経営の進め方がわかる資料を無料ダウンロードする

3.充実したサポート体制│継続的なつながりで安定運用

従来の製品購入では、納品後の故障や老朽化への対応はすべて自社の責任において行う必要がありました。

PaaSでは利用期間中、提供事業者との契約関係が継続するため、定期的な保守点検やトラブル対応などの手厚いサポートを受けられるケースが多く、業務のストップを防ぐことができます。

PaaS実践における3つの課題とその対応策

多くのメリットをもつPaaSですが、導入時にはいくつか注意すべき課題も存在します。事前に知っておきたい課題とその対策を紹介します。

1.長期利用によるトータルコストの増加

初期費用は抑えられるものの、数年から数十年にわたって長期間利用し続けた場合、累積の支払額が製品の購入金額を上回る可能性があります。

■対策

  • 事前シミュレーションの実施: 利用予定期間とコストの分岐点をPaaS導入前に把握する
  • 定期的な見直しの実施: 製品のアップグレードや契約条件の見直しを定期的に行う

2.途中解約における制約と違約金の発生

PaaSの契約には最低利用期間が定められていることが多く、事業環境の変化やオフィスの縮小などで途中で解約しようとした際に違約金が発生するリスクがあります。

■対策

  • 条件の確認と交渉の実施: 導入時に途中解約の条件やペナルティに関する条項を細部まで確認し、必要があれば契約前に交渉を行う
  • 柔軟なプランの選択: 事業変化の可能性を見越し、期間や条件の変更が可能なプランを選択する

3.希望条件に合うPaaS対応製品がないリスク

サーキュラーエコノミー型のPaaSは拡大傾向にあるものの、特定の専門機器や特殊な仕様を求める場合、希望に合致するサービスが存在しないケースがあります。

■対策

  • 既存ベンダーへの打診: 既存の取引先ベンダーに対し、製品のPaaS化の可能性を打診する
  • 柔軟な調達方法の検討: すべてをPaaSに固執するのではなく、一部は従来の買い切りモデルや代替のシェアリングサービスを併用するなど、同等の機能を担保できるよう検討する

PaaS導入事例

実際にPaaSをビジネスやオフィス環境に導入し、サーキュラーエコノミーの実践と経営の安定化を両立させている事例を紹介します。自社でPaaSに取り組む際の具体的な参考にしてください。

(参考:経済産業省『地域の課題解決をサポートするCEコマースガイドブック』)

1.オフィス家具サブスク│実験導入を廃棄ゼロで実現

東京都では、「未来型オフィス実現プロジェクト」の一環として、新しい働き方を実現するためのオフィス家具をサブスクリプションで実験的に導入しました。

新しい家具の効果を検証したい一方で、不要になった際の廃棄が課題となっていました。しかし、サブスクリプションサービスを活用することで、廃棄リスクを気にすることなく試験的な導入を実現しています。

また、調達元の部署がスタートアップ支援を目指していたことから、サービス提供事業者にスタートアップ企業を選定しました。これにより、オフィス環境の整備と事業者支援という目的を同時に達成しています。なお、導入にあたって生じた使い勝手に対する不安も、事業者との個別相談や一部製品の交換対応によって解消されました。

2.空調設備の定額利用│初期投資を抑えて管理の手間もカット

埼玉県北本市では、市内施設における空調設備の老朽化に伴い、リース方式を活用した定額利用を導入しました。複数施設の一斉更改は初期費用が高額になることが課題でしたが、この方式により6施設同時の空調導入と初期費用の抑制を実現しています。

また、保守費用が定額化されたことで突発的な故障による費用負担がなくなり、維持管理費用の平準化に成功しました。前例のない発注仕様書の作成においては、知見不足が懸念されましたが、事業者や他部署へのヒアリングを通じて課題を解決しています。 

さらに、設備の更新によってCO2削減効果が得られ、市の環境方針に沿う導入となっています。また、管轄課の職員における業務効率化にもつながりました。

サーキュラーエコノミー達成に向けてPaaS導入を検討しよう

PaaSは、従来の資源使い捨て型ビジネスから脱却し、サーキュラーエコノミーを実現するための強力な切り札です。コスト管理の平準化や管理工数の削減といった実務上のメリットを得ながら、CO2排出量の削減といった脱炭素経営を推進できます。

まずは自社の社内設備や備品の中で、所有からサービス利用へ切り替えられる製品がないか見直すことから始めてみてはいかがでしょうか。自社のCO2排出量算定や中小企業版SBT認定の申請について疑問がある場合は、ぜひ専門の相談支援窓口の活用を検討してください。

HELLO!GREEN

執筆:HELLO!GREEN編集部

HELLO!GREENでは、これから脱炭素経営に取り組む中小企業の皆さまに向けて、有益な情報を発信しています。環境省認定制度「脱炭素アドバイザー アドバンスト」にも認定されている 「炭素会計アドバイザー」資格を持つ専門スタッフの知見を活かし、わかりやすく信頼できる記事づくりに努めています。

脱炭素経営にご興味のある方、
お気軽にお問い合わせください