「遅かれ早かれ取るなら、今」と語る理由。SBT取得で加速する、中小企業の脱炭素経営と競争力の高め方
株式会社エスケー精工
代表取締役会長 山田様、業務部 澤山様・中村 様
長野県SDGs推進企業である株式会社エスケー精工は、取引先からの要請に応えるために、モジワウスの「中小企業版SBT取得サポート」を活用しました。単独での取り組みでは難しかったSBT取得も同サービスを通じてスムーズに実現。本事例では、現代の経営戦略のひとつでもある脱炭素経営への取り組みについて、導入の背景から取得までのプロセス、そして今後の展望までをご紹介します。
| 会社名 | 株式会社エスケー精工 |
|---|---|
| 事業内容 | 生産用機械器具製造業 |
| 従業員数 | 22名 |
- 取引先から脱炭素への対応要望が強まる中、自社でSBT認定を目指したが、専門用語や複雑な算定ロジックを理解できる人材が社内におらず、停滞していた。
- 過去に独自で行った排出量算定の妥当性に不安があり、国際基準に耐えうる正確なデータ算出と根拠資料の作成が急務となっていた。
- モジワウスの担当者が子育て世代であり、女性社員が半数を占める自社の企業文化や価値観に深く共感し、伴走してくれる安心感があった。
- サービス利用前の説明で、複雑なSBTの仕組みを噛み砕いて説明してくれたため、安心してお任せできそうだと感じた。
- 国際的なSBT認定を取得し、取引先からの信頼性が飛躍的に向上した。
- 科学的根拠に基づいたSBTの指標を取り入れ、目標の妥当性が裏付けられたことで、自社での目標を見直し、「年間7%削減」に向けて具体的なアクションプラン(太陽光パネル設置の設置を検討など)を策定できた。
脱炭素は「義務」ではなく「経営戦略」。中小企業が国際基準SBTを選ぶべき理由
ーまず、中小企業版SBT取得を目指した具体的なきっかけを教えてください。
山田さま:2018年頃から長野県SDGs推進企業への登録、ISO14001やエコアクション21といった環境認証の取得に取り組んできましたが、徐々に大手の取引先からより具体的な要求が出てくるようになったことが大きいですね。単に「脱炭素に取り組んでいます」「CO2排出量を算定しています」という姿勢だけでなく、国際基準に基づいたデータが求められるフェーズに入ったと感じました。こうした新しい基準に対して周囲よりいち早く取得することが企業としての競争力として重要と考えていました。
ーなるほど。世の中に多くの環境基準がある中で、「SBT」を選ばれた決め手は何だったのでしょうか?
山田さま:取引先であるグローバル企業がサプライヤーに求めているのは、「パリ協定に則った科学的な根拠」でした。SBTは国際的な枠組みなので、認定を受けることで「当社の削減目標は世界基準である」と客観的に証明できる、という点に価値を感じました。
ー御社のように、SBTは要件を満たせば目指せる「中小企業版SBT」があるので、中小企業の方も取り組みやすいですしね。当初は自社のみで対応を目指したのでしょうか。
山田さま:費用を抑えるために自分たちで取得を目指し、自分たちで情報を集めたり、商工会議所などに話を聞きましたが、自社だけで対応するのは難しいなと感じました。
ーまずは自社で情報収集を始めたんですね。御社は、モジワウスの脱炭素経営サポートサイト「HELLO! GREEN」から資料請求もしてくださってましたよね。
山田さま:脱炭素の世界は知らないことも多く、勉強する必要性は前々から感じていましたので、情報収集は積極的にしていました。しかし、具体的な申請プロセスを考えると当社だけで取得を目指すのはハードルが高いな、と。
ーSBTは海外に事務局があるので、やりとりはすべて英語になります。その点がネックになる企業も多いようです。
山田さま:CO2排出量の算定については、他の認証制度の取得のために当社でも自分たちで行っていましたが、正確に算出できているか不安でした。そんなときに人づてにモジワウスにたどり着きました。
ー数あるサービスの中で、なぜモジワウスを選ばれたのでしょうか?
山田さま:専門性も重要ですが、一番の決め手は「人」ですね。モジワウスは子育て中の女性社員の方が多いと聞き、当社の社員も半数が女性なので、その企業文化や価値観に深く共感してもらえた点が大きかったです。自分たちと同じような立場の人が伴走してくれるという安心感がありました。

ー実際のサポート体制はいかがでしたか?
澤山さま:疑問を投げかけたときにはすぐに分かりやすく回答をいただけて、レスポンスの速さに驚きました。最終的に当社の排出量や削減施策について非常に視認性が高く、整理されたレポートを作成してくれたことも、ありがたかったです。算定をすべてお任せできるモジワウスのサービス「中小企業版SBT取得サポート」を利用したことで、当社の算定方法の認識に誤りがあることに気付きました。
ーありがとうございます。モジワウスとのやり取りで、迷ったり疑問を感じたりすることはありましたか?
中村さま:そういったことはなく、最初から最後までしっかりサポートしていただけたと感じています。
取引先の「高い目標」を自分事化し、具体的なアクションへ
ーSBTを取得したことで、社内の意識はどう変わりましたか?
澤山さま:電気を消す、エアコンの設定温度を控えるなど、現在までもさまざまな削減活動は行ってきましたが、具体的なCO2排出量削減目標値はどのように設定すればよいのか迷っていました。
ー取得前から自社で排出量を算定されていたとのことですが、算定すれば終わりではなく、そこから目標を立て、実際に減らしていくということが大事ですものね。
澤山さま:はい。ですので、取引先の高い目標に対し、自社で「年間3%削減」という目標をわからないなりにも立てていたんです。しかし、中小企業版SBTの認定を受けたことで、科学的根拠に裏打ちされた本来の必要数値が明確になりました。SBTの基準を達成し、認定を維持するためには、「年約7%」という従来の倍以上のペースで削減を進める必要があると判明したのです。
ーなるほど。SBTはパリ協定が求める「世界の気温上昇を1.5℃以内に抑える」という水準と整合しているため、そこで示される「年間約7%の削減」という目標は、国際的にも非常に信頼性が高いものといえます。 根拠が明確になったことで、目指すべき方向性がよりクリアになったのではないでしょうか。
澤山さま:そうですね。この「年間約7%削減」という数値にはきちんとした根拠があるので、高い数値ではありますが、納得できました。元々掲げていた「年間3%削減」という当社の削減目標では2030年の目標達成が困難なので、今後成果が出せるように太陽光発電の導入などを前向きに検討しています。
ーさっそく具体的なアクションプランを検討されていてすばらしいです。
山田さま:太陽光発電の導入に関して、コスト以外にもさまざまな課題がありますが、当社で発電して当社で利用することが理想であると思っています。ESG投資という言葉を聞く機会もあり、積極的に取り入れていきたいです。
ー脱炭素を目指す企業の最先端を走っていらっしゃる印象ですね。
山田さま:SBT取得で終わらず、時代の潮流を感じ取りながら今後もさまざまなことをするつもりです。一時的に結果を出してそこで終わってしまっては、本当の成果とは言えません。継続して取り組み続けることが大切だと考えているため、今回のSBT取得を機に、これまで進めてきた植樹の取り組みや、以前検討したことのあるバイオマスについても、改めて見直していきたいです。

「エコアクション21」と「SBT」の使い分け
ーすでに取得されているISO14001やエコアクション21との兼ね合いはどうお考えですか?
山田さま:それぞれ手続きが異なるので大変な点もありますが、最終的にはどちらも続けることが大事だと考えています。理想としては、すべて継続していきたいです。特にSBTに関しては取引先企業とのやりとりの中で、頻繁に耳にするようになったとも感じています。
ーISO14001やエコアクション21は、社内の管理体制を整える「仕組みづくり」に強みがありますが、SBTは「具体的な削減量」という成果に特化した指標ですよね。
山田さま:ええ。これらは相反するものではなく、補完し合う関係にあると感じました。ISO14001やエコアクション21を土台に、SBTはそこからさらに一歩踏み込んで、脱炭素において具体的な基準を示してくれるものだと感じています。
ー御社のように複数の基準を使い分けることで、環境経営の精度はさらに高まっていくはずです。
山田さま:そう言っていただけると心強いです。今の時代、複数の角度から環境への姿勢を示すことは、企業の信頼に直結すると確信しています。
「1歩先に取った方がいい」——検討中の企業へ贈る言葉
ー最後に、中小企業版SBT取得を迷っている中小企業の皆さんにアドバイスをお願いします。
山田さま:取引先の要請に答えるために、遅かれ早かれ、取得をするのであれば早いほうがいいです。SBTのロゴや取得した公表をホームページで行うことで、企業としての競争力も高まると考えています。取得するとSBTのダッシュボードに社名と取得日が掲載されますが、日付が早ければ早いほど脱炭素に早くから取り組んでいることの証明になるのではないか、という思いもあります。
澤山さま:これまでも算定はしていましたが、今回の中小企業版SBT取得を機に、今後も継続して算定し公表していく予定です。