「SBT取得」で取引先の環境要請を一網打尽に!データ可視化から始まるミヤジマ技研の現実的な脱炭素経営への挑戦
ミヤジマ技研株式会社
品質管理 富岡正人 様
機械金属加工からインフラ関連の建設業界まで幅広い分野で、日本の高度なものづくりを技術力で牽引するミヤジマ技研株式会社。同社は近年、大手取引先から環境活動への要望が届くといったサプライチェーン全体で急速に高まる「脱炭素化」の波に直面していました。これらに対し、同社がベストとして出した答えが、国際的な温室効果ガス削減目標である「中小企業版SBT」の取得でした。複雑な英文でのやり取りや、目に見えない工数コストをモジワウスの「中小企業版SBT取得サポート」によって見事にクリアし、スピード取得を達成。取得を機に、データ管理の進化も遂げました。
今回は、SBT取得に至る背景や、可視化によって見えてきた「経済活動と環境対策のバランス」というリアルな課題、そしてこれからの展望について、お話を伺いました。
| 会社名 | ミヤジマ技研株式会社 |
|---|---|
| 事業内容 | 【機械部】シールド機用設備や搬送台車等の産業機械、および消防車部品の製造・加工。【事業開発部】ダム水門や下水処理場等、公共・環境プラント設備の製造・施工。【管工事部】給排水・空調・ガス等の地域ライフラインの施工・保守。 |
| 従業員数 | 51名 |
- 大手取引先から届く環境活動へのアンケートや個別要望に対して、自社リソースだけで対応することへの限界と大きな負担を感じていた。
- SBT取得にあたっては、海外にある事務局と英文でのやり取りが必須であり、専門知識のない自社単独では調べるだけで膨大な「見えないコスト(時間や工数)」が生じるリスクがあった。
- 国際的な削減目標である「中小企業版SBT」を取得すれば、乱立する取引先からの環境要請を網羅的にクリアできると確信したこと。
- 取得に関する複雑なやり取りをモジワウスに代行してもらえるため、自社のコア業務やリソースを圧迫せずに進められる安心感があったこと。
- 英文対応や複雑な手続きをお任せできた上、想定以上のスピードで「中小企業版SBT」が取得できた。
- これまでの経理的な「金額ベース」の管理から、燃料や電気の「数量ベース(リットルやkWh)」で実数値を正確に把握する体制へ移行でき、現場での細やかな省エネ意識の向上と具体的なデータ基盤が構築された。
「SBT」なら、取引先からの環境要請を網羅的にクリアできると確信
ーまずは、御社がSBTの取得を目指された背景や、当時抱えていた問題意識から教えていただけますか?
富岡さま:きっかけは、大手の取引先から環境活動に関するアンケートや、脱炭素に向けた具体的な要望を受ける機会が増えてきたことです。企業として対応を迫られる中で、現場としては個別の要望に応えていくのは限界があると感じていました。
ーそれはいつ頃のことでしょうか?
富岡さま:2024年~2025年のはじめでしたでしょうか。同時期に当社の社長から「これからは脱炭素経営を推進していく」という明確な方針が示されたことで、会社全体として本格的に動き出すことになりました。そこから情報収集を進める一環で、脱炭素に関する説明会に出席し、モジワウスの「中小企業版SBT取得サポート」を知りました。
ー会社として進むべき方向性が明確になったことが、大きな後押しになったのですね。数ある環境基準や選択肢の中から、最終的にSBTを選ばれた理由はどこにあったのでしょうか?
富岡さま:どの認証を目指すかという最終的な選択については、社長と話し合い、世界的に通用する「SBTを軸に進めよう」となりました。
現場の視点としても、「中小企業版SBTを取得しておけば大抵の取引先からの環境要請はクリアできる」と分かっていたので、担当としても推し進めたい気持ちが高まっていました。
ーSBTの有益性を見込んでいたのですね。
富岡さま:個別の質問に毎回頭を悩ませるくらいなら、国際的な基準であるSBTを一つ取得した方が、すべての取引先に対して「当社はここまで脱炭素に取り組んでいます」と網羅的に証明できる。これが大きな決め手になりました。

ーなるほど!現場が感じていた「個別対応の限界」という課題に対して、国際的に通用するSBTがベストな選択肢としてピタリと噛み合ったわけですね。非常に合理的で、組織が一丸となった素晴らしいプロセスだと思います。
英文メールや排出量算定はどう対応?「見えないコスト」を減らすための外部パートナー
ー自社の方針が決まった後、実際にSBTの申請を進めるにあたって、外部のパートナーとしてモジワウスの「中小企業版SBT取得サポート」を導入しようと思われたのはなぜですか?
富岡さま:やはり、自社だけの力で進めるにはあまりにもハードルが高く、限界があると考えたからです。
ーSBTの事務局は海外の組織ですから、やり取りはすべて英語になります。ほとんどの企業がすべてを自社だけで対応するのは難しいとおっしゃいますね。
富岡さま:全く同感です。専門知識のない当社だけで対応しようとすると、送られてきた英文メールの意図を正確に理解するだけでも時間がかかりますし、書類の作成ルールを調べるだけで膨大な日々が過ぎてしまいます。二酸化炭素の排出量の算定も正確にできるかわかりません。
ー専門的な知識と経験を積んだモジワウスなら、と選んでくださったのですね。
富岡さま:基本的なことが分かっていないと対応する時間ばかりがかかってしまいます。結果的に取得サポート企業に払う費用よりも、自社の社員が動く「見えないコスト」の方が高くついてしまいますよね。それであれば、ノウハウがあってしっかりサポートしてくれるプロに費用を払って対応してもらった方が、トータルとしては間違いなくメリットがあると考えました。
ー経営的な視点から「見えないコスト」を的確に計算されたのですね。非常に深い洞察だと思います。実際に私どものサポートを受けてみて、そのあたりの負担は軽減されましたか?
富岡さま:本当に助かりましたよ。実際に申請が始まってからは、SBT事務局から届いた英文メールをそのままモジワウスへ転送するだけで、メールの内容を解読するだけでなく、その時点での取得までの進捗や、その後のスケジュール、準備しておくことなど適切なアドバイスをいただけました。
ー英文の翻訳だけなら、今はAIでも十分対応できるでしょう。しかし、弊社はこれまで多くのクライアントをサポートしてきた経験があります。想定外の事態が起こったとしてもプロとして最善を尽くすことができます。
富岡さま:当社はアドバイスに基づき必要なデータを用意するだけでよかったので、社内の貴重なリソースという「見えないコスト」を大幅に削減できました。これは非常に大きな価値だったと感じています。
「金額か」ら「数量」へ。SBT取得を機に進化したデータ管理体制
ー今回のSBT申請のためのデータ収集について教えてください。これまでも電気代や燃料代は月別にデータを整えているとのことでしたが、SBTへの申請を経たことで新たな気づきはありましたか?
富岡さま:これまでのデータ集めに関しては、経営管理の視点から経理データとして毎月の電気代やガソリン代が「いくらかかったか」という金額だけを追っていました。しかし、モジワウスから、今回SBTへ提出するために必要なデータは金額ではなく「燃料の使用量」だと言われて、ハッとしました。
ー通常の経営管理は金額がベースになりますものね。しかし、脱炭素経営に取り組み、環境負荷を可視化するとなると、金額ではなく「燃料の使用量」が必要になります。
富岡さま:ガソリンなら何リットル、電気なら何kWh使ったのかという「数量ベース」で実数を正確に把握しなければならないというのは、新しい視点でした。
ー料金から二酸化炭素の排出量を算出する方法はあります。しかし、原油価格や電気料金の変動によって金額は上下してしまうため、二酸化炭素の排出量を正確に計算するためには、絶対的な「数量」のデータが不可欠になります。
富岡さま:ええ。ですからこれを機に、社内のデータ管理体制を見直しました。今では「ガソリンが何リットル使われました」「電力を量としてどれだけ消費しました」という月次データを、社内の共有ホルダーで一元管理しています。おかげさまで、2025年分の使用量は正確にいつでも把握できるようになりました。

ー素晴らしい進化ですね!「金額ベース」から「数量ベース(実数値)」の管理へ移行できたことは、脱炭素経営の基盤を作る上で極めて重要な第一歩です。より有効なデータを可視化したことで、工場の現場で働く社員の皆様の環境に対する意識醸成にもつながるのではないでしょうか。
富岡さま:そうですね。これまでは「環境のために優しく」と言われてもピンとこなかった部分があったと思いますが、自分たちの活動が数字として見えるようになったことは大きな前進だと感じています。
現場でも「こまめに消灯する」「無駄な機器の電源をオフにする」といった、日常のちょっとした省エネアクションと思いやりのある行動が自然と生まれるようになるのでは、と期待しています。
「5年で42%削減」という高い壁。経済活動と環境対策のバランス
ー無事にSBT認定を取得されたことで、御社はこれから「排出量を5年で42%削減」という具体的な目標に向かって進んでいくことになります。このネクストステージにおける課題については、現在どのようにお考えですか?
富岡さま:正直に言って、5年で42%削減っていう目標は、今まで使っていたエネルギーを半分近くまで減らすということですから、中小企業にとっては想定以上に厳しい、本当に高い壁だなと感じています。
ーそのような声は、多くの企業から聞こえてきます。
富岡さま:削減目標を達成するために、単純に現場に対して「電気やガスの使用量を減らすこと」とだけ締め付けてしまうと、それは生産ラインを止める、つまり経済活動をしなくなることとイコールになってしまいます。それでは本末転倒ですよね。
ですから、これからは単に運用面での無駄を省くだけのフェーズは終わりで、工場の設備そのものの省エネ化や、再生可能エネルギーへの切り替えなどを計画的に進めていかないとおそらく実現するのは厳しい、とリアルな危機感を持っています。
ーまさにそこが、これからのすべての企業、特に製造業における脱炭素経営の最大のテーマであり、難所ですね。
富岡さま:はい。「目的が何なのか」ということを常に忘れないようにしたいです。最終的には二酸化炭素の排出量を減らすっていうことなんですけども、私たちはボランティアではなく企業ですから、経済活動を成長させながら環境対策をしていかなければなりません。
ー二つのバランスの取り方が大事、ということでしょうか。
富岡さま:バランスの取り方も含めて、脱炭素経営についてはまだまだ未知な部分が多いですね。これからもっと勉強して、情報収集する必要性を感じています。
排出される二酸化炭素が増えていけば温暖化が加速するのは間違いないので、自社として進めるべきところは進めていこうと考えています。
SBT取得の先にある「持続可能な成長」へ向けて
ーSBTは「取得して終わり」ではなく、そこからが本当のスタートです。今後の展望を教えてください。
富岡さま:今はどの業種においても脱炭素への取り組みが企業成長に不可欠です。全国の中小企業の方々も、そのように感じてる方が多いのではないでしょうか。モジワウスが言うように、取得後が脱炭素経営のスタートということは理解しています。当社も現状をしっかり把握した上で、自社で展開できる脱炭素化への道を確実に歩んでいきたいです。
(トップ写真提供:ミヤジマ技研株式会社)